教育改革に学会のできる事?
社会の変化と必要な人材
狩猟、農耕、工業、情報を中心とした社会に続き、サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合した社会、Society5が到来、第5期科学技術基本計画では新しい価値やサービスの創出される超スマート社会を実現するための取組を深化させている。しかし、急激な少子高齢化、生産年齢人口の減少により、雇用環境や社会構造は急速に大きく変化,予測が困難な時代となっている。AIやIoTなど進化する情報通信技術を支える人材、特に俯瞰力や汎用力も備えたグローバルなリーダーの育成は本学会の緊喫な課題でもあるが、同時に情報に対する市民のリテラシーを高めることは広く社会の課題である。
文科省、経産省中心に行政は社会人基礎力などの求められる人材像を示し、学術団体や経済団体においても人材育成について議論している。大学や企業の特定な分野の研究者により形成される学会は、その分野特有の視点や考え方を明確にして、基本的な資質能力の育成に寄与することが望まれる。大学入学試験は知識に加えて思考力を重視する方向への改革が進んでいるが、大学は入学を待つまでもなく高校の授業改善に協力、連携して人材育成に取り組まねばならない。
人材育成と教育改革
高校までの初等中等教育の指導要領改訂は10年に一度行われるが、2017年末に答申された新要領は2022年に小中高校すべてで実施される。持続的な高校支援の仕組みを構築することを目指して、今回のシンポジウムをその第一歩として内容を振り返る事から始める。
広い視野からの議論をまとめた中央教育審議会答申は、予測困難な社会の変化に主体的に関わり,よりよい社会と幸福な人生の創り手となるために知・徳・体にわたる「生きる力」が必要であるとし、その資質・能力を「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の三つの柱で体系化、学習の質を高める授業改善を推進し、高等学校を含む初等中等教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革、学校と社会の接続を重視している。心の豊かさを持って社会で成長、様々な変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していくことや,様々な情報を見極め,知識の概念的な理解を通して再構成するなどして新たな価値につなげていくことを求めている。
「何ができるようになるか?」を「何をどのように学ぶか?」より優先、 生き抜くための資質・能力の育成に向けて,生徒の「主体的・対話的で深い学び」のアクティブラーニング(AL)の視点での授業改善と、教科等横断的な学習指導で学校全体として組織的に効果最大化を図るカリキュラム・マネジメント(CM)はこの推進の両輪となる。深い学びには「見方・考え方」、課題へ対応する資質・能力の育成のためには「探究」が重要となる。前者は教科、分野特有の視点や考え方であり、後者は分野を越えた課題への取り組み方法で「①課題の設定②情報の収集③ 整理・分析④まとめ・表現」の学習過程からなる。“各教科等の本質に根差した「見方・考え方」を働かせながら、(自分事として)生きて働く知識の習得や、技能を習熟・熟達させたり、思考力・判断力・表現力等をより豊かなものとしたり、社会や世界とどのようにかかわっていくかという態度等の育成、即ち資質・能力を図る”ことが「探究」である。先生仲間の協働の力で「主体的、対話的で深い学び」に向かう授業改善と教科を越えた生き方の探究支援は、カリキュラム・マネジメントの1つの道具とも位置づけられる。
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