投稿日: Mar 25, 2015 1:31:15 AM
約50名の参加を頂いて開催した。以下まとめです。
第Ⅰ部は「主体的な学び-能動的学習/教えるから学び支援へ」のテーマで、高校と大学の3人の先生から最近話題となっているキーワード「アクティブラーニング」を中心に授業改善の実践を生の声で伝えていただいた。埼玉の公立高校の物理の先生であった小林先生は、プロの空手選手の過去やカウンセリングの経験をベースに、6年間かけて15分の説明に続く25分のグループ討論、10分の発表、5分のまとめからなる授業を確立、成績改善、授業速度向上などの成果を上げ、現在はこの経験を沖縄から北海道の高校に伝授する他、大学や専門学校などにも展開していることを報告された。工夫厳選された配布資料、質問介入による対話促進支援、全員100点の満足感がその成功のキーとも。前日は京都の工業高校への全面導入計画を教育委員会と議論したとも。第2の堀川高校が誕生する予感が。その元祖堀川高校の飯澤先生は、愛の探究で楽しい人生には、入学後学びの型、術を身に着けて道を見出し、後半1.5年は自由に楽しみ18歳の自立を目指してきたと。教員の頭を使う天才の生徒には、質問に答えないでキーワードと本を紹介して躱す術が必要と強調された。探究に続いて、北九州市立大学の山崎先生は、反転とアクティブラーニングを組み合わせ、コンピュータの原理を理解させる授業の設計を語った。基礎は予習、応用を授業の反転、足場を作り外して自力で考える場つくり、専門用語と知識を暗記させメタファーや擬人化、イメージを使って直感的に関係づけることが有効ともくわえられた。
第Ⅱ部では「21世紀の大学の役割-知の拠点としての挑戦」がベネッセの山下さんが大学改革の政策の流れを説明したのに続いて、京大の石田先生から俯瞰力と独創力を備え、分野融合デザインによって社会課題解決のリーダーとなる博士人材育成、明治大の荒川先生から技術進歩で分業して消費者になった生活者が、3DプリンタやSNS等の手段を得て創造性を取り戻すとのビジョンを備えた人材育成プログラムの紹介があった。
パネル討論に加わった原島先生は、"アクティブラーニング”の独り歩きには注意が必要で、人の本来持つ可能性を引き出し、「大学からのメッセージとして卒業生を送り出す」意識での人材育成を強調された。
知識基盤社会における教育システムの在り方を、高校現場の声をベースに大学、企業まで一貫して考える場を提供するとの本シンポジウムの狙いが、約50名の参加者に伝わったことがアンケートから読み取れた。今後継続してこうした場を設定しながら、学会の役割を追及したい。