最新の議論について以下紹介します。
「続 楽しい学び実現は?」
-若者の意欲向上を目指して-
(大会企画パネルセッション 一般公開)
<主催> HCG (第3種CML研究会)
<共催> 男女共同参画委員会(調整予定)
<日時> 3月20日(水、春分祭日)13時-17時
(ロードマップに関するシンポジウムに先行)
<会場> 岐阜大学工学部 D棟1階106番教室
<趣旨>
理工離れ、電子・情報・通信分野の学生人気低迷、小中高校生の学力の低下への懸念の中で、次世代を背負う若い技術者の確保・育成が重要な課題となっている。大震災を機に開催した高校生のワークショップで、仲間との繫がりで勇気を取戻し未来への願いを込めた発表に感銘を受けた。特別な体験を学ぶ意欲に高めることができ、自主的な活動を促す環境・場の設定が意欲向上には重要な要素であることを確認した。今回のシンポジウムでは、人と人の絆、繋がりの形成にコミュニケーションの原点があることを振り返り、対話をベースとしたリベラルアーツ教育、企業や行政も加わった学習プログラムの共同開発、新聞や情報通信NWの活用などの高校での実践報告を伺いながら、大学教育、教科書、情報通信技術の果たす役割を考える。
ご案内はこちらから 総合大会シンポジウム「続 楽しい学び実現?」.pdf
<第Ⅰ部 コミュニケーションの役割>
司会 塙 雅典(山梨大学)
1)人はなぜコミュニケーションするのか?なぜ遊ぶのか?なぜ学ぶのか? 13G1029原島.pdf
主催研究会委員長 原島 博(東京大学名誉教授)
http://harashima-lab.jp/ https://twitter.com/hirohrsm http://www.facebook.com/hirohrsm
2)学生を変容させる大学の初年次教育 13G1030谷口.pdf
谷口 哲也(河合塾教育研究部)
http://www.nextet.net/e-learning/56/feature/sp01-1.html
<第Ⅱ部 対話による意欲復活>
司会 小村 俊平(創造的復興教育協会)
3)対話を中心としたリベラルアーツ授業 13G1031福島.pdf
福島 毅(千葉県立東葛飾高等学校) http://www.habataku.co.jp/article/article_edu001.html http://blog.goo.ne.jp/fin-kyoiku
4)身近にある様々な事象に対する若者の興味を高める学習プログラムの共同開発 13G1032浦崎.pdf
浦崎 太郎(岐阜県立可児高等学校)
http://taro4031.jimdo.com/profile-1/career/ http://twilog.org/Taro4031
<第Ⅲ部 学びを支援する情報伝達>
司会 日比野 雅夫(YDK株)
5)新聞とICTを活用した対話による生徒の変容 13G1033二田.pdf
-メタ認知的自己評価力の育成-
二田 貴広(奈良女子大学付属中等学校)
http://www.facebook.com/takahiro.futada
6)情報教育と教科書 13G1034池田.pdf
池田 正浩(日本文教出版)
http://www.nichibun-g.co.jp/joho/
<パネル討論、交流会>
地元岐阜、愛知、三重の先生を中心に服部弘幸先生が企画中
講演の概要は以下の通りです。
原島 博(東京大学名誉教授)
「未来世代からみたコミュニケーション科学の魅力と学習意欲の向上」第3種研究会は、2011年4月に発足しました。若者の理系離れを背景として、中高校生に電子情報通信分野の魅力を伝えるにはどうしたらよいか。それがこの研究会のテーマでした。
この研究会の発足にあたって、メンバーで次のような議論をしました。もしかしたら、いまこの分野が魅力的だと思っているのは、私たち技術者の独りよがりなのではないか。もし中高生などの未来世代にとって必ずしも魅力的でないとすれば、それはなぜなのだろうか。未来世代は何に関心があるのか。そして、何よりもその学習意欲はいかに生まれるのか。研究会はまずそれを対象とすることにしました。「未来世代からみたコミュニケーション科学の魅力と学習意欲の向上」という研究会名はそこから来ています。
このシンポジウムは、未来世代の学習意欲向上がテーマになっています。そもそも子どもたちにとっての学びとは何でしょうか。それ以前に子どもたちは遊びます。なぜ子どもたちは遊ぶのでしょうか。遊びと学びは、対立概念のように思われることもありますが、本当にそうなのでしょうか。遊びは楽しいのに学びは必ずしもそうでないとすれば、それはなぜなのでしょうか。
私は教育問題の専門家ではありませんが、一人のコミュニケーション技術者として、人のコミュニケーションそのものに関心を持っています。遊びや学びも密接にそれに関連しているように思われます。そもそもヒトという動物はいかなる存在なのか。サルやチンパンジーとどこが違うのか。ヒトが人となって、それに何が加わったのか。そのような原点に立ち戻って、人はなぜコミュニケーションするのか、なぜ遊ぶのか、なぜ学ぶのかについて、皆様と一緒に考えてみたいと思っています。
谷口 哲也(河合塾教育研究部)
河合塾では2009年度に全国1,092学部(一部学科、全学機構を含む)の初年次教育に関する質問調査を行ったが、初年次ゼミを行っている大学は多かった。しかし、「学生の態度変容」まで踏み込んでいると思えるものは全体の一割にも満たない。そこで、質問紙調査で評価が高かった32大学・学部を抽出し実地調査をした。評価のポイントは「学生の態度変容」を促しているか、学生が1人で成長していく「自律・自立化」を促しているか、「全学生に一定水準以上の質保証は」という3つである。調査結果を紹介しながら、学生の態度を変容させる初年次教育システムを見ることが、高校生の大学選びの指標の一つとなることを提案する。
福島 毅(千葉県立東葛飾高等学校)
戦後日本の教育は経済発展を前提としたフレームの上に成り立っており、労働生産の向上を考えた場合は機能してきたと考えられる。しかし、グローバル化・複雑化・高度情報化した現代においては、知識基盤社会をどう確立し、日々の正解のない問いに対する問題解決を求められている。単に大学進学実績のみを目的とした近視眼的な教育観から、学問に対する内的な自発性を高め、多様な人たちとの高度なコミュニケーション能力や協働する力を培う必要がある。このような考えのもと、東葛飾高校ではリベラルアーツ教育に力を入れており、今回は特に社会人や大学生を交えての対話型ワークショップの概要と期待される効果などを報告する。
浦崎 太郎(岐阜県立可児高等学校)
未知から、関知、興味、知識、理解、行動へと変容する学びのモデルで、むかしあった興味に根ざす生活での豊かな遊び(原っぱ)がなくなり、未知から出発して興味喚起する動機つけの役割を学校が過度に負っているところに現在の問題がある。社会に対する子供の憧れや一体感を育て取り戻すには、行政から企業も含めた多様な参加者が生徒をも含めた対話を通して学習プログラムを共同開発することが有効であろう。持続性、公平性も備えた協働体として学会の役割は大きく、ノウハウを体得したファシリテーターや共有するための可視化が不可欠である。
二田 貴広(奈良女子大学付属中等学校)
奈良女子大学附属中等教育学校では、ICTを活用して次の実践を行っています。
1,朝日新聞デジタルのコンテンツ「写真地球儀」を活用した非連続テキストの読解力向上
2,インターネットを介した海外駐在新聞記者との「対話」による、メタ認知的自己評価力の育成
対話を通して気づきを与え自分を変えるこれらの授業実践は、「21世紀のリベラルアーツ」の理念に基づくSSH(スーパーサイエンスハイスクール)での国際交流プログラムと補完し合いながら効果を高めています。
池田 正浩(日本文教出版)
高等学校における共通教科「情報」は平成15年度から始まった新しい教科(必履修)である。教科名が示す通り,学習内容として「情報」を取り扱うのであるが,その範囲は多岐にわたる。新しい教科ということもあり,学習指導要領に述べられている教科目標の中には,長年の学校教育で培われてきた知識伝達型の教育方法では達成が難しいものも含まれる。教科書は学習指導要領の意図と現場の実態とを慎重に見定め編集されるものであり,そこにはさまざまな葛藤もある。当日は教科書の内容や編集制作過程での問題意識,学校現場の実態などの一部を紹介し,高校生の学ぶ意欲を喚起するために教科「情報」が果たす役割について検討したい。