サルトル研究会会報 第19 2000年 8

Bulletin du Cercle d'Etudes Sartriennes no.19 aout 2000


 サ ル ト ル 研 究 会 会 報 第19号 2000年 8月


サルトル研究会第10回例会の報告


7月8日(土)第10回例会が津田塾大学におきまして開催されましたのでご報告いたします。今回は趣向を変えて、『理想』〈サルトル〉特集号に寄稿された方の中から三名の方への公開質問という形をとった討論会を行いました。会員以外のかたの参加もあり、少人数ながらたいへん充実したものになりました。


 鈴木正道氏 「文学青年が哲学を書き始めたとき」

鈴木氏の論文は、サルトルの青年期の作品「ある敗北」を、ニーチェとの関係を通して読解したもの。サルトルのニーチェ観などを中心にさまざまな質問が寄せられた。


 澤田直氏「植民地への密かな視線---『嘔吐』を再読する」

『嘔吐』をエキゾチスム文学への弔鐘を鳴らす作品とする澤田氏の解釈をめぐって、サルトルの旅行論、植民地主義批判など、種々の意見が飛び交った。


 北見秀司氏「後期サルトルのヒューマニズム---ポスト構造主義の後で」

フーコー、ドゥルーズに対峙させ、後期サルトルの他者論を明快に分析する北見氏の論文は、『弁証法的理性批判』の解釈などの問題など多くの議論を巻き起こした。


☆ 本年の日仏哲学会の秋の大会は、〈サルトルの倫理思想〉をテーマに行われます。サルトル研究会と共催の形をとっていますので、みなさまぜひご参加ください。


日時 9月16日(土曜日) 13時30分 場所 日仏会館(恵比寿)501会議室

テーマ「ジャン=ポール・サルトルの倫理思想---いま、アンガジュマンとは」


司会者  箱石匡行氏

提題者  清眞人氏  「相互性のユマニスム」

       水野浩二氏 「本来的人間から全体的人間へ」

       澤田直氏  「ジェネロジテ---贈与性としてのモラル」


☆ 出版ニュース 

サルトル『植民地の問題』(解説海老坂武)改訳新装版(人文書院)

サルトル『自我の超越・情動論素描』改訳新装版(人文書院)

三宅芳夫『知識人と社会--J=P.サルトルにおける政治と実存』(岩波書店)

『理想』No. 665 「特集 サルトル・今」(理想社)