齋藤 博(福祉社会デザイン学部)
本活動は、空き店舗が目立つ茨城県鹿嶋市の中心市街地活性化を目的とし、来街者の増加を促進する取り組みでとして、まちづくり鹿嶋㈱が主催する「Meet to Art」における一連のイベント(歌舞伎公演、花火鑑賞)の企画及び運営のサポートを行っている。合わせて、地域の魅力を発信するメディアの製作を行った。
【本学の社会貢献活動の発展について】本活動は2019年度からゼミ活動として継続的に取り組んできたことにより、地域における活動の土台を構築してきた。2023年度及び2024年度の2年間における地域活性化支援事業による中心的な取組みとして、まちづくり鹿嶋㈱が主催するイベントの企画及び運営の補助を行ってきた。その結果、地域における齋藤研究室(あるいは、東洋大学)が担うべき役割が明確になりつつあることを実感している。それは、大学生の瑞々しい感性を大学での学び(人間環境デザイン学科においては「デザイン」)の成果として社会に実装することであり、大学という若者が集う高等教育機関としての社会貢献の一つのあり方ではないかと考えている。
【学生参画の必要性】今年度実施した中心的な取り組みとして、①花火鑑賞の際にまちづくり鹿嶋㈱が提供する桟敷席の付加価値を向上させるための「提灯」のデザインと製作 ②地域資源の発掘と情報発信メディア「サイクリングマップ」の製作の2つがある。これらは、着想から、具体的なデザインの検討、運用(使用)の方法まで、学生の感性と大学における学びの成果を反映したものであり、学生ならではの社会貢献になったと考えている。鹿嶋市のような地方都市においては、若い人に対する期待が大きく、また、実社会における実践的な教育を通じた成長の場として、社会貢献活動は学生にとっても貴重な機会となっている。
【社会貢献活動上の期待できる効果】地域での社会貢献活動を実施するためには地域への理解と人間関係の構築が必要不可欠であり、地域への訪問は必須と言える。しかしながら、鹿嶋市は赤羽台キャンパスから約100kmの距離にあり、東京駅から運行している高速バスで2時間の距離にある。また、往復3,900円の交通費、滞在の目的によっては6,000円/泊の宿泊費が掛かり、現地への訪問は学生にとって大きな負担となっている。したがって、交通・宿泊費のサポートにより学生の負担がある程度解消され、社会貢献活動を行う土台(地域への理解と人間関係の構築)が強化され、より多様な活動の展開が出来ると考えている。
【活動した地域、団体との実績内容】
今年度の実績として、8月、10月のイベント及び12月の現地調査において、まちづくり鹿島㈱を中心とした地域の方々との協働が実現している。12月のゼミ合宿においては、中心市街地を含む鹿嶋市(ほぼ)全域を自転車で移動しながら調査を行っている。その中で地域の人に地域のことを教えて頂き、また、我々の取り組みの説明を行うなどの交流の機会を持つことができた。また、「東洋大学とまちづくり鹿嶋株式会社との相互協力覚書」の締結に向けた調整を完了している。早期に覚書を締結し、引き続きまちづくり鹿島㈱をカウンターパートナーとして2025年度も活動を発展させていきたいと考えている。