南会津町・観光まちづくりデザイン  

代表教員

佐々木 茂 (国際観光学部)

活動概要

 9月に実施予定の本格的なヘルスツーリズムに向けてフレイル予防の実験的なプログラムを行った。外部企業監修の食育学習を通じた世代間交流、医療機関による骨密度検査などの健康チェックや講演会、地元住民が参加したウォーキング、地元事業者によるセミナーや体験プログラムを実施した。

成果

 今回の南会津町訪問は昨年10月に実施したフレイル予防ツーリズムを踏まえ、県外からの参加者を募る9月の本格的な開催を見据えて実施された。「フレイル」とは健康な状態から要介護に移行する中間の段階のことであり、フレイルを予防するために「栄養・運動・社会参加」の3つを軸に取り組みを行った。

 まず、「栄養」の観点からは外部企業監修のもと、事前に学生とイベント参加者に共食支援コーディネーター講座を受講してもらい、年齢にかかわらず普段から意識すべき栄養バランスの知識を身につけた。この食育学習は事前の座学のみに留まらず、3日間の訪問の中で南会津の食材を使った食事を楽しむ機会が設けられた。普段野菜をあまり好まない学生も舌鼓を打つほどの美味しさで、外部からの来訪者にとってはもちろん地元の方々にとっても新しい食べ方の提案を通じて食材の良さを再確認する機会となった。また、これらの得た知識を参加者がサポーターとして新たな参加者に伝えていくことで今後の持続可能なツーリズムの確立を目指すという狙いもある。

「運動」を促進する取り組みとしては、地元ボランティアガイドの協力を得て1時間程度のウォーキングを実施した。運動前後に医師による問診や骨密度検査、ストレス値を測定するAGE検査を行いヘルスツーリズムとしての意義を高めることができた。

 そして「社会参加」については、今回の訪問で最も学生が寄与することができたと言えるだろう。問診の待機時間やウォーキングの最中、ランチタイムなどで密に話を聞くことができる場面が多く見られ、初めて南会津を訪れた学生にとって地域を知る絶好の機会となった。このような交流の場は双方にとって新たな発見があり、若者の人口流出と高齢化が深刻化する地域において関係人口の拡大や人口還流を促進する一つの契機となる。

 9月の規模を拡大したヘルスツーリズムの開催にあたり、参加者の人数に応じたグループ分けやウォーキングコース、道の駅を利用した地元食材の販売促進案など今後さらなる検討の余地がある点がいくつか挙げられた。今後はOBOGとともに立ち上げたNPOを活用しながらより地域に入り込んだ調査を重ね、3年生が現在取り組んでいる研究活動を通じて多様な視点で地域活性化に貢献できる提案をしたいと考えている。