福島県南会津町地域活性化支援活動

代表教員:佐々木 茂

国際観光学部国際観光学科

■活動内容

 佐々木茂ゼミナールでは2018年度より、福島県南会津町をフィールドに活動を行っている。2020年度は新型コロナウイルスの影響で現地を訪れる回数が激減してしまったが、その分Web会議システムを利用して地域とのコミュニケーションを継続的に行った。農業をテーマに絞り南会津町の特産品である南郷トマトの付加価値向上を目指して4月から論文制作を開始した。その結果、論文制作によってブランディングを用いた地域の新しい魅力創出の提案を町に行うことができた。来年度は昨年に現4年生が提案した内容と併せて実現に向けた活動を進めたいと考えている。 

■活動の成果概要

 佐々木茂ゼミでは、コロナウイルスの影響により、予定していた南会津町役場や地域住民へのヒアリングや、現地の見学等が困難であった。そこで、南会津町の総合政策課の星良栄氏ご協力のもと、南会津町の道の駅や木賊地区の温泉、南郷トマトの選果場等の写真撮影や現場状況をヒアリングした。南会津町の南郷トマト生産組合副会長とJA会津よつばの職員から、南郷トマトの生産や選果についてと課題について話し合う場を設け、ヤンマー論文制作にあたり、南郷トマトブランドの消費者と生産者側に理解の相違があると仮定することになった。南会津町の宿泊業経営者らからは、南会津町の問題抽出から課題解決までのプロセスの考え方や露地栽培について御教示いただいた。
11月に南会津を訪れ、南郷トマトの提案が現実的に可能かどうかについて確認の目的で視察した。
 1日目は南郷トマトを生産している(株)アグリファームを訪問した、トマト農家から栽培に関するご説明をいただいた。論文では商品にすることができない緑色のトマトをブランディングするという提案を行ったが、実際にここで初めて緑色のトマトを食べさせていただいた。次に木賊集落を訪問した。ゼミでは福島県の「大学生の力を活用した集落復興支援事業」に参加をしており、中山間地域である木賊集落の復興に取り組んでいる。木賊集落が抱える問題としては、観光資源である温泉が低温のため灯油を購入して沸かしているが、地域住民からの費用の徴収が困難になり、赤字が続いている現状だ。今回の訪問ではまず、集落の住民に集まってもらい、温泉を沸かすための小水力発電システムと建設のためのクラウドファンディング(CF)を提案した。CFでは地域の物品を返礼品にしたいと考えているため、地域の手作り工芸品も確認した。そして、ここでのディスカッションを機に地域の人たちが全国の先進地域の視察に行くこととなった。次に、南会津町の職員や事業者に集まっていただき、私たちの論文を発表した。たくさん指摘もいただき、新規提案について好感触を得た。
 2日目、農産物の加工を行っている(株)土っ子田島ファームを訪問。湯田社長によると緑色のトマトの商品開発は既に行っていた。しかし生産量も取り扱いも少ないのだという。しかしこれは緑色のトマトの希少性でもあるためブランディング戦略を活用できると考えている。湯田氏も緑色のトマトのブランド化に興味を持っていただいたため新規提案の実現可能性を感じることができた。
 合宿の際に、役場の方から南会津町舘岩地区で、コロナの影響によりイベントの中止が相次ぎ、昨年度収穫した蕎麦が43t残っていることを伺った。そこで、舘岩地区の蕎麦の在庫超過についても検討することにした。蕎麦以外の活用方法を考え、新しい町の商品としての提案を行った。佐々木茂教授ご協力のもと、(株)インテリジェントプランナー代表取締役原田祐介氏と面談し、同社と舘岩地区が連携をし、ガレットを使った新商品開発について提案をした。現在は、蕎麦粉の状態や製粉方法について南会津町の製粉会社と意見のすり合わせを行っている。

 第30回ヤンマー学生懸賞論文の部 優秀賞受賞