高津川流域におけるフードデザートの調査

代表教員

藤本 典嗣 (国際学部)

成果・概要

 2017年度からはじまった東洋大学と高津川流域地域(益田市)との交流(学生訪問など)を郡部(津和野・吉賀)も含み、かつ、フードデザートの発生やそれに伴う現地における買い物弱者対策について、学生の現地調査を伴いながら、交流を継続させるものである。本事業の特徴として、地域に根ざした文化創造者が制作した視聴覚型資料の活用がある。事前学習として、映画「高津川」(島根県在住の錦織良成監督による作品)を、2022年2月(新宿バルト9など)で鑑賞し、同地域が抱える地域的課題(少子高齢化、若年層の流出、結果としてのフードデザートの発生やそれに対する買い物弱者対策など地域政策の必要性、神楽など地域文化の継承の必要性)を、学生が学習した。映画の撮影に関わった監督、プロデューサー、津和野町町長から、地域の課題について、3月(オンライン)・5月(東洋大学)にて、事前に説明を受けた。それらの事前学習を踏まえ、現地合宿は以下のスケジュールでおこなわれた。

 9月5日は、宿舎で事前のオリエンテーションをおこなった。6日9時30分より、益田市役所にて、山本市長による益田市の概要紹介や地域課題の提示、学生との質疑応答がおこなった。別途に、講演で用いられた資料が配布され、その資料に基づいて、学生との質疑応答があった。11時00分より、地域の小売業(スーパーマーケット運営事業者)である株式会社キヌヤにて、寺戸常務取締役より、株式会社キヌヤにおける買い物弱者対策について説明があり、学生との質疑応答を行った。学生から地域貢献として、どのような取り組みをしているかについて、「売り上げの30%を地元産とすることを目標」「買い物弱者対策として宅配事業があるが、慈善事業に近いこと」の説明があった。18時50分より、津和野町養老館にて、左鐙社中による石見神楽の実演が行われた。事前に津和野町役場から配布されたイラスト入りの神楽の紹介冊子に基づき、下森博之津和野町町長による津和野町の現状紹介、錦織良成監督による石見神楽の解説も行われた。7日10時より、リフトに乗り、津和野城址を見学した。リフトへの搭乗より、津和野町教育委員会の職員が、地域観光スポット、各種観光施設が地域経済に与える影響の観点から、各所の説明を行なった。13時より、日本遺産センターの職員より、センター内の展示物についての説明が行われた。15時より、岩本町長(吉賀町)より、吉賀町の概要やビジョンについて説明があった。中でも、小中高の教育に力を入れている現状について、重点をおいて説明があった。事前質問に対して「大型ダム開発に依存しなかったのは、その必要がないため」「地域感情は公民館レベルでまとまる」との説明が、町の職員よりあった。8日には統括をおこなった。

 以上の調査内容を踏まえ、12月には学生が調査報告(PPTで20枚)をまとめた。