南会津町観光まちづくりデザイン研究Ⅴ 

代表教員

佐々木 茂 (国際観光学部)

活動概要

ヘルスツーリズムにおけるフレイル予防に向け、冬のアクティビティを取り入れたツアーを実施した。外部企業による食事監修のもと、体組成計を用いた健康チェックや、スノーシューで雪道をウォーキングしたり、クロスカントリースキーをするなど、フレイル予防を目的とした体験的プログラムを実施した。

成果

2022年10月に実施したフレイル予防ツアーを踏まえ、今回は冬のアクティビティを中心としたフレイル予防ツアーを行った。「フレイル」とは健康な状態から要介護に移行する中間に位置する段階のことであり、今回も前回同様、フレイル予防に向けて「栄養・運動・社会参加」の3つを軸に取り組みを行った。

まず「栄養」について、外部企業監修のもと、主に南会津の地元食材を使った食事を取り入れた。各食事にお品書きを用意し、それぞれの品にどのような食材が使われているか、どのような栄養素が含まれており、どのような効果があるのかを明記した。また、外部企業の栄養士による食育学習として講座も行われた。ツアー終了後においては、講座の内容を振り返りながら帰りの特急列車の中で食べるお弁当を購入する場面も見られた。

次に「運動」について、南会津の冬の観光資源である雪も楽しめるような運動として、地元住民の協力のもと、スノーシューを履いて雪道をウォーキングやクロスカントリースキーのアクティビティを行った。慣れない雪道でのウォーキングやクロスカントリースキーは、普段動かすことのないような筋肉を動かすことができた。また、運動前には、地元の「さすけねぇ体操」という体操で準備体操もしっかり行った。

そして、「社会参加」においては、学生が大きく寄与した。アクティビティ中はもちろん、食事の際に毎回参加者の間に1人ずつ学生やOBを配置し、参加者との会話を密に行うようにした。フレイルは体力が筋力が衰えている状態だけでなく、社会とのつながりが希薄化している状態のことも指す。今回学生との会話の機会を多く設けたことで、異なる世代間との交流を促し、フレイル予防に繋げた。

今回のツアーを通して、リピーターの参加者に健康チェックの結果を前回のものと比較できるようにしたなどの良かった点があった。しかし一方で、ツアーの中で地元商品を取り入れることで、より地域に貢献するなどの改善点も見つかった。今後は、異なる季節における開催を目指し、フレイル予防だけでなく経済的な面から地域に大きく貢献できるような企画をしていきたいと考えている。