富士宮市における食文化復興プロジェクト  

代表教員

佐野 浩祥 (国際観光学部)

活動概要

 富士宮市の観光まちづくりに向けた課題解決に取り組むべく、文献調査と現地調査を行った。因果ループ図による課題の構造化、複数回の現地調査による関係者インタビューや社会実験を実施し、それらを取りまとめ現地での成果報告会を実施し、学生と地域の双方にとって有意義な機会となった。

成果

 本年度もコロナ禍の中での活動を余儀なくされたものの、昨年度までに比べれば条件が緩和されたため、積極的な現地調査を展開することができ、有意義な活動が可能となった。4月からは富士宮市の現状を把握するための文献調査を開始し、因果ループ図の作成を通して、富士宮市の中心市街地が抱える問題の構造化を試み、好循環につながるような解決策の方向性を模索した。また昨年度活動したゼミ生との情報共有も実施し、昨年度から本年度にかけての継続性についても配慮した。

6月11日には学生13名と現地調査を実施し、中心市街地を4エリアに分けてチームごとに分担し、現地調査でしか得られない情報を入手するためにひたすら歩き回り、パブリックライフマップを作成、ツーリズムEXPOにてプレゼンテーションを行った。第1回現地調査を踏まえ、そのテーマに応じて3チームに分かれ、第2回現地調査以降の活動につなげていった。9月17日から18日にかけては、14日には18名の学生が第2回現地調査を実施し、各チームが解決策の精度をさらに高めるための調査を企画・実施した。観光協会をはじめ、宿泊施設や商店街組合、飲食店の方に精力的にインタビューし、地域の多くの方にご協力いただくことができた。12月10日から11日にかけても8名の学生が第4回現地調査を実施、社会実験を実施したり提案の実現性を高めるための調査を実施した。その後、学生による食文化振興と中心市街地活性化に関する提案をとりまとめ、2023年1月30日、地元関係者に広く声をかけ、富士宮市役所410会議室において報告会を実施した。報告内容については好意的な反応が多く、また、今後の活動についての意見も複数いただき、来年度の活動に向けた素地をつくることができた。地元新聞(静岡新聞・岳南朝日新聞)にも大きく取り上げられ、より一層、東洋大学としての活動が当該地域に周知された。

 以上の一連の調査にもとづく調査報告を通して、今後の取り組みに向けて富士宮市のカウンターパートとの信頼関係を醸成できたこと、そして学生によるビジョンや社会実験の提案に対して、ある程度の地元側の理解を得ることができたことが、昨年度に引き続き、今年度の活動の主な成果と言えよう。学生が主体となることによって、様々な関係者と接触することができた他、学生ならではの斬新なアイデアによって地元住民の関心をひくことができた。

そして、東洋大学の学生が出したアイデアに刺激され、報告会では「次は私たちが立ち上がる番だ」といった意見が地元住民から相次いで出され、地元住民との協働が動き出す機運が醸成された。