沖縄の地域観光活性化のための観光人材育成と商品開発

代表教員

森下 晶美 (国際観光学部)

活動概要

 オーバーツーリズムの懸念される一方、観光が大きな収入源になる沖縄において持続可能な観光と地域活性化の両立を目的に、地域固有の自然と文化を活かし質の高いインバウンド旅行者を誘致するために、地元観光協会やガイド、旅行会社などとともにアドベンチャートラベルの商品化に取り組んだ。

成果

①インバウンド旅客の増加は地域経済への好影響とともに環境への負担と疲弊を生じさせた。また、オーバーツーリズムを背景に日本の観光戦略も量から質への転換を模索している。

 沖縄県も例外ではなく、北部やんばる地区が2021年世界自然遺産に登録され有数の自然と琉球文化を持つことから、これを活かした良質のインバウンド客の誘致を県を挙げて目指している。固有の自然と文化を理解する質の高いインバウンドとして、世界的に注目されているのがアベンジャートラベルで、本取り組みは沖縄県、国頭村などとともにアドベンチャートラベル(自然・文化・アクティビティを通じ地域を理解する観光)で地域の独自性と持続性のある観光産業基盤を作るもので、観光収入が大きなウエイトを占める沖縄県にあいては特に意義が大きい。

②沖縄は主要産業である観光を担う人材不足で、観光を学ぶ学生との協働により企画アイデア、若い人材育成の方法論を考察できる。特に北部やんばる地域は若年層の人口減少も厳しく、アドベンチャートラベルはアクティビティが観光資源となるため、若いアイデアや考察は欠かせない。また、森下ゼミでは経年にわたりアドベンチャートラベルを研究しており、その知識と成果を役立てることができる。

③ゼミでは、4月からやんばるに関する資料調査とオンラインによる現地関係者との情報交換を行って、やんばるでのアドベンチャートラベルの可能性を考えてきた。今回、さらに実際に視察と地元関係者との意見交換、学生の提案を行ったことで、やんばるでアドベンチャートラベルを進める上での課題や、観光資源を活かしたプランなどが少しずつ整理できた。これは実際に現場を見て、担当者と忌憚ない意見交換を行ったことによるところが大きい。やんばる地区では、2023年北海道で行われるアドベンチャートラベルワールドサミット2023(アドベンチャートラベルの世界大会)でプランの提案をも目指しており、ここで評価されれば国際的なアドベンチャートラベルを誘致でき、これにより質の高いインバウンド旅客を誘致でき、環境・文化保護と経済の発展が両立できるため、学生が果たした意義も大きい。

また、別件ではあるが、やんばる地区は、現在、観光庁事業として「第二のふるさと創生事業」に取り組んであり、これに対しても学生と地元関係者との意見交換を行い事業への協力を行った。