在住外国人と協働する宮城県気仙沼の復興活動の支援

代表教員:長津 一史

社会学部社会文化システム学科

■活動内容

 今年度は、新型コロナ禍のため現場での活動は11月半ばの1回に限られた。具体的な活動は、以下の通り。
 11月14日、気仙沼港岸壁にてインドネシア人船員が乗船する遠洋延縄漁船を訪問。24人のうち20人がインドネシア人である。これらの船員から、遠洋漁船での就労環境について話を伺った。後、気仙沼まち・ひと・しごと交流プラザ「ピアセブン」にて、インドネシアパレード組織者の鈴木敦雄氏(気仙沼市商工会議所)から、コロナ感染状況下での同市の国際交流事業について話を伺った。同時に、来年度の同パレードへの参加可能性についても尋ねた。なお、8月1日予定されていた同パレードはコロナ感染拡大のため、中止になっている。後、陸前高田市の「東日本大震災津波伝承館」を訪問。その後、同市市議の福田利喜氏に同市の復興の進捗状況ならび震災後の大学ボランティアの受入状況について話を伺う。11月15日、気仙沼市議・三浦友幸氏から同市の復興の進捗状況と震災後に生じた他の社会問題について検討会をおこなった。同市議によれば、震災後10年近くになり、家族の崩壊、子どもの貧困、不登校の増加等の問題が顕在化するようになっている。これらに対するボランティアが今後必要になるとのことであった。後、気仙沼市内水産加工場で働くインドネシア人技能実習生(3組)から、新型コロナ下での就業状況とそれに関わる悩みについて話を聞いた。SNSで本学学生との関係を構築。今後も協力しあうことを約束した(参加者計14人、うち本学学生12名、教員2名)。

 

■活動の成果概要

 本活動の目的は、本学学生人が気仙沼の市民・外国人と協働して気仙沼の復興活動を支援することにある。 現在気仙沼市には、632人の外国人が居住する。東日本大震災から8年を経た同市では、復興と町おこしのために外国人との協業が不可欠になっている。なかでも最大の外国人人口229人のインドネシア人技能実習生との共生関係を構築することは、同市にとってきわめて重要な課題になっている。
 本活動はこうした課題を念頭に、現場で①「インドネシア人・市民との対話・交流」②「町おこし事業(港まつり)への共同参加」③「知的インフラ(図書館)の整備」の3点に重点をおいた活動を行う予定であった。しかし、新型コロナ禍のため現場に出かけることは困難であった。今年度は、新型コロナ感染状況が若干、おさまりをみせた11月に1度、現地を訪問し、①「インドネシア人・市民との対話・交流」に貢献するまでにとどまった。訪問時には、現地の水産加工会社から協力をえて、インドネシア人技能実習生6名と面談し、日本での就労にかかる困難や市内での生活にかかる問題点などについて話を伺った。同時に、気仙沼市商工会議所のインドネシアパレード組織者、気仙沼市・陸前高田市市議を訪問して、外国人技能実習生雇用と震災復興の経緯・現状について話を伺った。昨年度同様、震災後の若年人口の減少が顕著な同市では、本学学生の精力的的な参加は地域の人びとに大きく歓迎された。とりわけ来年度の港まつり「インドネシアパレード」への参加には強い期待が寄せられた。新型コロナ感染が終息した後には、ぜひとも訪問したい。短いながらも、インドネシア人技能実習生との直接対話を通じて得られた知見は、今後、本学学生が気仙沼市の外国人と協働して復興・町づくりを進めていくうえで大きな意味を持つ。
 東京から気仙沼市への交通アクセスは決して良いとはいえないが、今年度はGo To事業、JRの旅行活性化プランにより学生の旅費の負担は軽減された。残額については、参加学生が自費努力によりプロジェクトに参加した。本プロジェクトによる資金面での支援は、そうしたかれらのボランティア精神を支える重要なサポートになっている。かれらの参加は、震災から10年を迎えボランティア・来訪者が減少している同市の「復興後の町づくり」を支援するうえできわめて大きな価値を有する。