地方都市における地域資源の活用による観光まちづくり 

代表教員

山田 香織 (社会学部)

活動概要

 本活動では、香川県高松市にある特別名勝・栗林(りつりん)公園をフィールドとし、大切にしているものを変えずにどのような変化があれば、Z世代の誘客促進につながりうるのかを検討し、提案内容について公園関係者の方たちと意見交換をおこなった。

成果

 香川県高松市にある日本特別名勝栗林公園(りつりんこうえん)事務所様と連携して活動した。訪問約2か月前に担当者の方々と打ち合わせをおこない、以下の課題に取り組み、提案をおこなうことになった。

 課題1 Z世代に焦点をあてた誘客促進
 課題2 大切にしているものを変えずにどのような変化があれば誘客につながるか

 活動は6チームに分かれて実施した。各チーム、上記課題のいずれかに関して提案できるよう、テーマと現地調査項目を定めた。また、担当者の方の要望に応じ、訪問前に庭園1か所(三渓園など)にも訪れた。

 現地活動は計2日半で、1日目午前は栗林公園を散策(ガイド付)し、午後は散策で気づいた点(魅力的な点、充実させるとさらによくなると思う点)をワークショップ形式で整理・報告し、公園スタッフの方と意見交換した。スタッフの方からは、報告に関する質問やコメントのほか、栗林公園を知らないZ世代から見た栗林公園のサービスや情報発信に関する印象についても質問があった。SNSを用いた情報発信については、普段どのようにSNSで情報収集をしているのか、どういった情報が目をひくのか教えてほしいといった要望があった。

 活動2日目は、1日目の活動をふまえ、また3日目の提案に向けてグループごと追加調査を実施した。Z世代の集客につながる情報発信やサービスの提案、栗林公園を含む観光ルート提案を想定していたことから、それにつながる調査を香川県内の観光地やプログラム体験でおこない、可能な範囲で聞き取りもした。現地活動最終日はグループ提案をおこなった。提案は、公園内で販売する体験型商品の価格設定に関するもの、SNSで発信する情報に関する具体的案、公園内の設備充実に関するものなどで、短期間で動画を作成したグループもあった。このうち、Z世代向けの商品とその価格設定、SNSでの発信情報、栗林公園ならではのコラボレーション案に対しては、好意的な反応を得ることができた。

 今回の活動では、無料入園が可能で、同公園をよく知る地元の学生では気づくことのできない印象や感想に基づいた提案がなされた。これは、訪問するまで栗林公園をほとんど知らなかった学生が上記課題に取り組んだ成果といえる。また、学生の参画なしには生み出すことのできなかった成果でもある。一方、参加学生にとって本活動は、地方都市の実情や課題を肌で感じる貴重な機会となり、活動成果を他世代の方に向けてアウトプットし、そうした方たちと意見交換する非常に有意義で機会にもなった。栗林公園を多くの人に知ってほしいという熱い想いを持った多くのスタッフの方と意見交換ができたことも大変刺激的だった。活動成果は報告書にまとめ、2022年10月中に栗林公園様に送付予定である。