高津川流域における買い物弱者対策の調査 

代表教員

藤本 典嗣 (国際学部)

活動概要

道の駅が買い物弱者にどのような機能を持つのかの実態を、島根県高津川流域や山口県北東部を事例として調査した。また、地ビールなど嗜好品を地産地消として買い物弱者対策をおこなっているビール醸造業者についてもヒアリング調査をおこなった。地域の高校生、有識者ともシンポジウム形式の交流事業をおこなった。

成果

萩市内の道の駅3施設の訪問により、立地を比較をしたところ、萩市中心地から離れている、道の駅たまがわでは、地域の住民向けの生鮮食料品、中でも、魚などの海産物が、安価かつ豊富に売られていること、対照的に、シーマート萩においては、中心市街地から近く、主要観光施設に近接していることから、海産物なども観光客向けの保存食や加工食が多く売られていること、阿武は、その中間で、観光客と地域住民向けの商品のバランスが取れている実態が明らかになった。山口市山間部、津和野町の道の駅4施設の訪問では、津和野中心街に近接する施設は主に観光客をターゲットとながらも、日原地区においては地元の買い物の中心としての機能も保持していること、そのため、2020年以降の、コロナ禍の影響は、2割程度の売り上げ減にとどめることができたことが、ヒアリングから明らかになった。また、長門峡、願成就温泉についても、観光客に対する商品数が多いことが明らかになった。生鮮食料品の供給先としての買い物弱者対策とは別の視点で、嗜好品の製造販売から買い物弱者対策を行っている業者として、高津川リバービア(ビール醸造所)を訪問し、代表である上床絵理氏より、ビール醸造所の立ち上げ、事業としての創業について、説明があった。学生との質疑応答の中で、代表より回答があり、規制緩和により、ビール醸造所の立ち上げが、バブル期の地ビールブームと比較しておこないやすくなっている状況、今後は、酒税の税率変更により、地ビールブームが起こりやすくなっている状況を学んだ。また、代表の、生き方として、勤務先や勤務地などに縛られずに、自分なりの事業ビジョンを描き、その目標に向かって創業していくという、従来の「会社」「組織」などに縛られた生き方とは違った生き方があることについても、学生は理解した。調査や学習を踏まえた学生の意見は、地域の高校生や有識者と、交流事業(シンポジウム形式、神楽上演の見学)をおこなうことで、日常的なコミュニケーションとしてフィードバックされたと考えられる。