富士宮市における食文化振興プロジェクト

代表教員

佐野 浩祥 (国際観光学部)

活動概要

 富士宮市の観光まちづくりに向けた課題解決に取り組むべく、文献調査と現地調査を行った。因果ループ図による課題の構造化、オンラインでの関係者インタビューなどとともに、日帰りの現地調査も数回実施、それらを取りまとめオンラインでの成果報告会を実施し、学生と地域の双方にとって有意義な機会となった。

成果

 昨年度に引き続き、コロナ禍の中での活動を余儀なくされたものの、オンラインツールを有効活用することで、現地調査とあわせて、有意義な活動が可能となった。4月からは富士宮市の現状を把握するための文献調査を開始し、因果ループ図の作成を通して、富士宮市の中心市街地が抱える問題の構造化を試み、好循環につながるような解決策の方向性を模索した。

 7月10日には、学生17名と現地調査を実施し、中心市街地を4エリアに分けてチームごとに分担し、現地調査でしか得られない情報を入手するためにひたすら歩き回った。第1回現地調査を踏まえ、課題を明確化し、解決策の精度を高めていった。

 11月14日には、18名の学生が第2回現地調査を実施し、各チームが解決策の精度をさらに高めるための調査を企画・実施した。観光協会をはじめ、宿泊施設や商店街組合、飲食店の方に精力的にインタビューし、地域の多くの方にご協力いただくことができた。その後も、オンラインでのインタビューによって現地調査を補足しながら、提案を導出していった。

 2022年1月12日にも3名の学生が第3回現地調査を実施し、提案の実現性を高めるためのインタビュー調査を実施した。その後、学生による食文化振興と中心市街地活性化に関する提案をとりまとめ、2022年2月1日、地元関係者に広く声をかけ、オンラインでの報告会を実施した。報告会の1週間まで、富士宮駅前の公共施設の会議室をおさえ、多くの市民の前で直接報告することを予定していたが、オミクロン株のまん延にともなう対応を余儀なくされ、オンラインでの報告会となった。ただし、報告内容については好意的な反応が多く、また、今後の活動についての意見も複数いただき、来年度の活動に向けた素地をつくることができた。

 以上の一連の調査にもとづく調査報告を通して、今後の取り組みに向けて富士宮市のカウンターパートとの信頼関係を醸成できたこと、そして学生によるビジョンや社会実験の提案に対して、ある程度の地元側の理解を得ることができたことが、昨年度に引き続き、今年度の活動の主な成果と言えよう。学生が主体となることによって、様々な関係者と接触することができた他、学生ならではの斬新なアイデアによって地元住民の関心をひくことができた。そして、東洋大学の学生が出したアイデアに刺激され、報告会では「次は私たちが立ち上がる番だ」といった意見が地元住民から相次いで出され、地元住民との協働が動き出す機運が醸成された。