広島県呉市御手洗地区における地域活性化支援事業

代表教員:須賀 忠芳

国際観光学部国際観光学科

■活動内容

 ゼミ活動として、指導教員(須賀)が引率し、ゼミ学生3年次15名で活動に取りくんだ。主な活動地域は、瀬戸内海交通の要衝で、江戸期港町の景観を今に伝え、重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている広島県呉市御手洗地区である。活動目的は、過疎化が急激に進行する当地区の活性化のために何が必要かを考察するとともに、実現可能な観光施策を提言することである。当該目的の達成のために、11月6日(金)から8日(日)にかけて現地調査を行い、現地を概観するとともに、現地の状況について、聞き取り調査を行った。また、事前に考察した内容を現地で発表することにも取り組んだ。現地での調査内容をふまえて、12月11日(金)には、調査結果の発表報告会を実施した。あわせて、年度末には、調査内容を含めた論説をまとめることができ、今後、地元の方々に提示させていただく予定である。

■活動の成果概要

 現地調査では、地区内を概観するとともに、呉市文化振興課担当者、地元の「重伝建を考える会」会長を含む役員の皆様から聞き取り調査を行い、豊富な歴史文化資源を持ちながらも、地域住民の都市部への流出と少子高齢化のために地域の過疎化が進む当地の概況について認識を深めることができた。現地調査をふまえて、より現実的な、地域活性化のための観光施策の提言に取り組み、12月11日(金)には、調査に関する成果と観光施策提言につながる内容を発表する調査発表報告会をオンライン形式で実施した。当該発表報告会には、新原芳明呉市市長にもご参加いただくとともに、前出の文化振興課担当者に加えて、呉市産業部副部長、呉市総務部秘書広報課課長、呉市産業部観光振興課課長補佐、呉市産業部海事歴史科学館学芸課学芸員ら、当地の地域振興、観光施策に直接関わっていらっしゃる呉市役所の皆様、御手洗地区の地域住民の皆様、また、呉市東京事務所所長、及び、呉市とゆかりも深く地域活性化において共通の課題を有する、京都府舞鶴市、長崎県佐世保市、神奈川県横須賀市の各東京事務所の皆様にもご参加いただいた。その際、学生発表について、皆様からご講評をいただき、学生の提示した観光施策について、学生目線からの興味深い内容であるとともに、実効性のある施策の提案であるとして、評価していただくことができた。その後、当該発表会において頂戴したご意見をふまえて観光施策提言内容を精査し、年度末に刊行したゼミ論集において、活動全体についてまとめることができた。今後は、当ゼミにおける提言内容を地元の方々に提示させていただき、改めて検討いただく予定である。
 こうした取り組みは、過疎地域における観光施策支援としての本学の社会貢献活動の一つとして、地元からも高い評価を受け、大きな成果を得るものともなったと思われる。また、首都圏出身の者が多い参加学生にとって、地域振興にかける強い思いを有する地域の方々と直に接することは大いに刺激となるもので、地域貢献活動の意義について、強く実感する契機となっている。同時に、学生が提示した観光施策について、当地の皆様からも大いに関心を持っていただくことができた。次年度以降は、当該施策の実践について、本学学生がどのように取り組むことができるかを課題として、取り組んでいきたいと考える。
 当事業については、交通費・宿泊費等は自己負担で、学生の経済的負担は大きなものがあった。こうした中で、今回、交通費・宿泊費について、補助、支援いただくことで学生の経費負担分も大きく軽減され、学生にとって、より参加しやすく、教育的効果は各段に高まったものと思料される。