広島県呉市御手洗地区における地域活性化支援事業

代表教員

須賀 忠芳 (国際観光学部)

活動概要

ゼミ学生3年次14名で、広島県呉市御手洗地区について、当地区の活性化のために何が必要かを考察するとともに実現可能な観光施策を提言する取り組みを行った。事前学習、オンラインによる聞き取りを経て、10月29日から11月1日にかけて現地調査を実施し、その後、調査事業報告会の実施、報告書の作成に取り組んだ。

成果

 現地調査では、地区内を、地元の「重伝建を考える会」会長に直々にご案内いただき、地域の様子を概観するとともに、「重伝建を考える会」会長、役員の皆様から聞き取り調査を行い、豊富な歴史文化資源を持ちながらも、地域住民の都市部への流出と少子高齢化のために地域の過疎化が進む当地の概況について認識を深めることができた。また、グループ別の活動も実施し、地域住民や、地区内の観光事業者への聞き取りも実施し、地域の実状について理解を深めた。同地区における現地調査は、昨年度に引き続いて実施したことから、地域の方にもさらにご助力いただき円滑に調査を実施することができた。

 現地調査をふまえて、より現実的な、地域活性化のための観光施策の提言に取り組み、12月10日(金)には、調査に関する成果と観光施策提言につながる内容を発表する調査発表報告会をオンライン形式で実施した。報告内容は、昨年度の報告をふまえて、より地域の実態に即した、実現可能な施策提言となるように留意した。当該発表報告会には、呉市産業部副部長、呉市観光振興課課長、同課課長補佐、呉市文化振興課課長ら、当地の地域振興、観光施策に直接関わっていらっしゃる呉市役所の皆様、また、呉市東京事務所所長、及び、呉市地域住民の方などにもご参加いただいた。その際、学生発表について、皆様からご講評をいただき、学生の提示した観光施策について、昨年度の内容をさらにブラッシュアップさせた内容で、学生目線からの興味深い内容であるとともに、実効性のある施策の提案であるとして、高く評価していただくことができた。今後は、当該発表会において頂戴したご意見をふまえて、さらに観光施策提言内容を精査し、年度末に刊行するゼミ論集において、論評し、活動全体についてまとめることとする。

 こうした取り組みは、過疎地域における観光施策支援としての本学の社会貢献活動の一つとして、地元からも高い評価を受け、大きな成果を得るものともなったと思われる。また、首都圏出身の者が多い参加学生にとって、地域振興にかける強い思いを有する地域の方々と直に接することは大いに刺激となるもので、地域貢献活動の意義について、強く実感する契機となっている。同時に、学生が提示した観光施策について、当地の皆様からも大いに関心を持っていただくことができた。当ゼミによる、同地区における地域活性化事業は、今年度で終えることとするが、次年度以降も、呉市役所担当者や地域住民の方と連携しながら、当地の観光施策実現に向けて留意し、貢献していきたいと考える。

 当事業については、交通費・宿泊費等は自己負担で、学生の経済的負担は大きなものがあった。こうした中で、今回、交通費・宿泊費について、補助、支援いただくことで学生の経費負担分も大きく軽減され、学生にとって、より参加しやすく、教育的効果は各段に高まったものと思料される。