佐賀中山間地域における住民主導型地域活性化活動支援 

代表教員

岡本 郁子 (国際学部)

活動概要

2023年11月4日~6日、急速な少子高齢化、過疎化が進む佐賀市松梅地区において、住民主導型の地域活性化の取組みに対する支援活動を行った。参加者は教員1名、学部3,4年生16名の計17名である。今回、我々は、地域の方々とともに、干し柿用柿の収穫作業、ログハウスのための材木処理を行った。

成果

松梅地域は佐賀市と福岡市を結ぶ幹線道路沿いに立地する。人口900名の同地区は、日本の他の中山間地域と同様、少子高齢化、過疎化が急速に進み、現在の高齢化率は40%~45%に達している。松梅地域の多くの農家は古くから干し柿の生産や野菜や米の生産に従事している。しかし、担い手不足から耕作放棄地も拡大しつつある。また、佐賀県重要無形文化財に指定されている和紙生産(名尾和紙と呼ばれる)に従事してきた。和紙生産はかつては同地区の100軒ほどが従事していたが、現在は1軒のみとなっており、伝統技術の継承がきわめて難しくなりつつある。

そうしたなかで、地域資源(干し柿や和紙)などを活かし農業だけでなく体験型観光(タケノコ農園、干し柿づくり、民泊など)をリンクさせることで交流人口を増やすことを目的に立ち上げられたのが「ナオノカゼ」という有志グループである。ちなみに、「ナオノカゼ」というのは、干し柿づくりに最適な風という意味と、その活動から名尾に風を吹かせたいという意図がある。

コロナ禍で中断していた後の初めての地域活動支援となった今回は、ちょうどこれから繁忙期に入る干し柿の収穫作業、また民泊施設の近くに建設予定のログハウス用の建材処理の支援を中心としながら、地域の人々との交流を行った。また、生徒数が年々減少している松梅小中一貫校を訪問し、短い時間ではあるが児童との交流を行った。小中一貫校となったのは10年前だが、郷土学習や農業体験などを通じて地域ぐるみで学びの環境を提供する試みが行われている。

 ナオノカゼは、観光と農業をリンクさせた地域活性化の取組みの拡大を目指しているが、やはりコロナ禍の3年はほぼその活動は中断していたようである。その意味で、今回、久しぶりに県外、とりわけ関東圏の学生を受け入れることによって、あらためて地域資源にどのような価値を見いだすのかがわかること、また子供にとっても、地域にほぼいない大学生世代と接することが大きな刺激になることがわかったとの感想を頂いた。