南会津町・観光まちづくりデザイン研究Ⅲ

代表教員

佐々木 茂 (国際観光学部)

活動概要

南会津町における冬季期間の観光事業の調査並びに体験、宿泊先ホテルと協議を行っている地域ブランド用の地元産のそば粉を活用したガレットの取り組みの現状の確認と今後に向けての打ち合わせ、フレイル予防ツーリズム調査の昨年の振り返りに加えて2022年度調査に向けた打ち合わせを実施した。

成果

 昨年度に引き続きコロナ禍での対応を行った。本来は、参加予定者20名を見込んでいたが、オミクロン株という新型コロナウィルス第6波の影響を受けて、4名のみの参加となった。

 しかしながら、南会津町の人々の協力もあり、当初予定していた調査と実体験のプログラムすべてを実施することができた(上記、主なスケジュールに記載)。特に、冬季期間における同地の観光客は、年間入り込み客総数の1/3に当たる30万人以上に上っており、重要な収入源である。しかしながら、ゲレンデにおけるアルペンスキーやスノーボード客の減少もさることながら、同地ならではの歩くスキーであるクロスカントリースキーに至っては、地域外にはほとんど周知されていない。過去の夏季期間中の調査時に、学生がこういうところを歩いてみたいという声がきっかけになって、今回の冬季の調査がようやく実現した。そして、体験した学生たちは口々に新しい体験に強く惹かれたとのことである。今後は、ゲレンデにおけるガレットの提供と併せて、新しいライフスタイルを検討して、提案していくことになった。

 南会津町のような、高齢化と過疎化が顕著に表れている地域の人々との交流を通じて、地方と都会を結ぶ役割を学生自らが担うことは、さらなる関係人口を拡大させる取り組みになる。例えば、今回参加の学生は、12月下旬に同地で開催された小中学生向けの「山村留学」のボランティアにも参加しており、地域貢献が具体化し始めている。

 この取り組みは、単なる活動に留まるのではなく、大学外部の観光論文などへの投稿を通じて、実践と理論を融合させ、他の地域においても実現可能な考え方を導き出すことにもつながっている。

 地域の活性化には、地域外からの視点が不可欠である。その地域外の視点を地域の問題に強い関心を有する国際観光学部の学生が担うことで、地域により貢献しながら、実践的且つ理論的に学べる格好の機会となる。

 ただし、今回の訪問においても、新たな課題が提示された。同じ南会津町でも超高齢化の進む過疎地域の木賊集落では、過去の提案を地域としてはなかなか実践できなかった。外からのかかわり方だけでの解決が困難を極めていることを如実に物語っている。今後は、現地での活動機会を増やす方法を検討するなど、新しい取り組み方も検討しなければいけないことを痛感した訪問となったことも付記しておきたい。