齋藤 邦明 (経済学部)
絶滅危惧種であるトキの餌場作り(環境保全、ビオトープづくり)と、日本財団「子ども未来舎りぜむ」にて子供達との交流ボランティア活動に、留学生と共に協力して取り組むことで、多角的な視点から地域貢献や多文化共生の実現を目指す。
私たち(東洋大学里山サポーターズ)は2024年8月21~25日、新潟県佐渡市を訪問して、トキの餌場作り(環境保全、ビオトープづくり)のボランティア活動・農作業体験、鬼太鼓体験、地域の子ども達との交流を行いました。この経験を通じて、地元の方々からトキや自然環境保護の大切さ、地域の歴史、潟上地域活性化の取り組みを学ぶことができました。また今回私たちは、東洋大学の学祖、井上円了の佐渡国巡講日誌を元に、その跡地を巡る体験を通じて、東洋大学と地域との関わりについても考察・実践しました。
まずトキの餌場作りについては、人口減少に伴う地域の労働力が減少する中で、トキの餌場を確保することが困難となりつつあることを学びました。この点は、私たち東洋大学の学生が参画することは、私たちの社会経験のみならず、地域にとっても不可欠であるといえます。私たちは2018年から新潟県佐渡市におけるトキの餌場作りに関与しており、新型コロナウイルスで一時中断したものの、取り組みを継続してきていることから、地域の人たちに認知され、新潟県佐渡市でもその活動に一定の評価を得ています。また、私たちの活動は、2023年の日中関係学会宮本賞(学生懸賞論文)で優秀賞を受賞しており、その活動は学術的にも評価を得ています。私たちは地域での活動実践と学術の社会還元の両面において、大きな成果を挙げています。この活動は今後も継続していくことで、「東洋大学と地域との関係」の優良かつ先進的な事例となることが期待できます。
そして、今年は日本財団「子ども未来舎りぜむ」にて子供達との交流会を行いました。この施設は、従来の学校や学童とは異なり、「子どもの自由な居場所」を「子どもが主体」となって作ることを重視し、そこに様々な世代の人たちが関わっているという場所です。「子どもが主体」の具体例として、施設内のゲーム使用時間や、おやつの持ち込みに関して、子ども達が話し合ってルールを決めるといったことを挙げられます。大人が子どもに一方的にルールを押し付けるのではなく、大人はあくまで助言を行うというスタンスであることや、移住者なども自由に利用できるなどの、「開かれた子どもと地域の場所」という取り組みであるということが分かりました。こうした地域の取り組みについて、私たちは2024年度の白山祭にて展示を行い、佐渡の取り組みを東京をはじめとする都市の人たちに紹介したいと考えています。佐渡のように島嶼部にあり、農村が広がる地域では、「閉鎖的な農村」がイメージされがちですが、「子ども未来舎りぜむ」は「開かれた地域社会」と「開かれた子育て」の先駆的な実践例であるといえ、そうした活動は都市に生きる私たちにも大きな示唆があると考えます。他にも佐渡市潟上の伝統芸能である「鬼太鼓」を経験するなど、地域をさまざまな視点から経験することが出来ました。