田川 夢乃 (社会学部)
宮城県気仙沼市において、地元住民と滞日外国人住民との相互理解にもとづく多文化共生社会の実現を目的として、支援活動を行なった。2024年6月から10月にかけて計3回気仙沼市を訪れ、地元住民と協働のもと、国際交流イベントを開催した。
水産業を主要産業とする宮城県気仙沼市では、1980年代頃からインドネシア人船乗りを雇用してきたことから、1990年代の技能実習生度開始以降、主に水産加工業の現場で多くのインドネシア人技能実習生を受け入れてきた。東日本大震災後の労働力不足に際して、その数は増加傾向にある。このことから、本活動は、気仙沼市の滞日外国人のなかでも特にインドネシア人技能実習生に焦点を当て、かれらと地元住民との相互理解を促すことで、多文化共生を介した東北復興の実現を目指した。このような本活動は、持続可能なグローバル化を念頭においた独自の社会貢献のモデルを提供するものである。
ゼミの学生10名は、2024年6月から10月にかけて宮城県気仙沼市を三度訪れた。6月7日から9日の第1班は、技能実習生を受け入れている水産加工会社に聞き取りを行うとともに、インドネシア人技能実習生やフィリピン人居住者と交流をもつことで、気仙沼市の主要産業である水産業を支える滞日外国人の労働状況と生活における課題の把握に努めた。8月2日から8日の第2班は、一般社団法人気仙沼インドネシア友好協会、気仙沼市商工会議所青年部との協働のもと、気仙沼みなとまつりでインドネシアパレードを開催した。学生たちは運営に携わるとともに、インドネシア人実習生への積極的な声かけを行い、地元住民と滞日外国人との交流を支援した。10月4日から6日の第3班は、上記友好協会と協働して芋煮会を開催した。本イベントは、東北地域の郷土料理である芋煮の紹介をとおして、気仙沼の滞日外国人に東北の文化に親しんでもらうことを企図している。これらの活動では、ゼミの学生たちが毎年継続的に気仙沼を訪れ、インドネシア人技能実習生たちと友好的な関係性を築いてきたことがイベントの成功に寄与している。
現地調査の結果を踏まえ、1月中旬に調査に関する成果発表報告会を学内およびオンラインで開催することで、気仙沼インドネシア友好協会のほか、気仙沼市役所まちづくり課(国際交流担当)等に活動報告をおこなうとともに感謝の意を伝える予定である。
本活動における交通費・宿泊費等は自己負担であり、学生の経済的負担は大きなものがあった。今回、交通費・宿泊費を支援していただいたことで学生の経費負担分も大きく軽減され、学生は活動によりいっそう積極的に参加し、多くの学びを得ることができた。