在宅死に対する家族の不安
1.職業
訪問看護師
2.業務分類
在宅でのターミナルケア
3.施設内看護の年数
4.訪問看護の年数
5.経験内容
70歳代の女性Eさんは大腸がんを患い、肺、肝臓にもがんの転移がみられた。また、腹壁腫瘍が開口し、その箇所が瘻孔となっていた。彼女は大腸がん末期の状態であった。
医師からは瘻孔からの排液が多く、処置が難しいので退院困難とされていたが、本人の強い希望で、一人娘宅に退院した。医師は、退院時に予後は3か月と娘に説明した。
母親と家族の関係は良好であったが、家族は人が死んでいく過程を見たことがないために、在宅死に対する不安は大きかった。その理由は、核家族化が進み、病院死が増えたため、死の過程を知る人が少なくなったこと、したがって、「死を知らない」ことが、それに対する不安を一層増幅させることになったからである。
6.出所
財団法人日本訪問看護振興財団監修、角田直枝編集『訪問看護のための事例と解説から学ぶ在宅終末期ケア』(中央法規)2008年1月、p.122-133.