リハビリの理念はQOLを高めること

投稿日: Nov 11, 2017 7:5:56 AM

リハビリの理念はQOLを高めること

「QOL」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

「QOL」は、「Quality of Life」の略語で、「生命の質」や「生活の質」、あるいは「人生の質」とも訳される生命倫理学のキーワードです。

一般の人たちだけではなく、医療従事者であっても、QOLと聞いて、ピンとこないという人はいらっしゃるのではないでしょうか。

たとえば、私が今、リハビリを受けている理学療法士さんに、「QOLってご存知ですか?」と尋ねてみたところ、「うーん、聞いたことないです。ADL(日常生活動作)なら知っています」という答えでした。

そこで、聞き直してみました。「リハビリのお仕事で、大切にされていることは何ですか?」と。すると、つぎのような答えが返ってきました。

「整形外科のリハビリで目指しているのは、病気が完全に治ることや、痛みを全くゼロにすることではありません。私たちの仕事は、治療そのものではなくて、いわば治療のためのお手伝いで、ご本人の身体に語り掛けて、少しでも痛みの少ない、そして、自分の好きなことができるような状態に近づけてあげることです。

痛みによって損なわれている、その人のいのちや人生の状態を、少しでも「やりたいことがやれる」「痛みが少なく自由に動ける」ような方向へと、引き上げてあげることです。病気の完治それ自体が、必ずしも目的ではないのです」。

生命倫理の言葉で言い換えると、リハビリの理念は、QOL、「生活の質」を高めることだということになります。「QOL」という言葉を知らなくても、医療者は日々の仕事のなかで、QOLの意味するいのちへのアプローチを、自然と体得し、実践しているのです。