『QOLって何だろう』ができるまで(2)--KJ法を実践!

投稿日: Mar 03, 2018 10:23:41 AM

まず、音声入力(当時はWindowsの音声認識を使っていました)で、とにかく書きたいと思うキーワードについて、思いつくままに文章を入力していきました。そして、それが一通り吐き出せたとき、 全てプリントアウトして、「グループ編成」をしていきました。「似たもの同士」を見つけて、同じグループとして紙片を束ねていく作業のことです。

実際にやってみると、非常に重複が多いなと思いました(かなりの量を書いたつもりなのに、結局同じことしか入っていないのかなと思うことしきり)。

時々、この作業に意味があるのだろうか…などと思ってしまうこともあったのですが(それぐらい地道な作業です)、その度ごとに、とにかく「事柄をして語らしめる」、「混沌をして語らしめる」 と、呪文のように呟きながら手と頭を動かしていきました。

この「グループ編成」の後、各グループに「1行見出し」をつけていき、大きめの紙の上に、見出しを付けた紙の束をレイアウトしていきました。この作業はとても面白かったです(何かを創造しているという感じ)。

無理なく頭にスッと入っていくような流れを考えながら、いくども順序を入れ替え 、なんとか紙の束を全てレイアウトし終えた後、それらを大きな紙の上に置いて、フリクションボールペンで、円を書きながら囲ったり(輪どり)、矢印をつけたりして、 構成を立てて行きました(KJ法A型図解法)。

その後、それらを文章化していきます(B型文章化)。

実際に文章化してみると、図解のときはうまくいくと思ったのに、なぜか流れがぎこちなかったり、うまく接続できなかったりすることが多々ありました(図解と文章化とは、脳内の異なった働きなのだそうです)。

その都度、もう一度、先ほどのレイアウトを見直したり、また、作業の過程で、自分自身が「賢くなる」こともあって、新たな発想が浮かんできたら、それをまた吐き出して、「グループ編成」し直したりと、この作業に二か月近くを費やしました。

やがて、粗削りな状態ではありますが、本の全体像が見えてきました。

その後は、内容を肉付けしたり、印象的なエピソードを挿入したりしながら、ブラッシュアップしていき、KJ法開始から五か月くらいで、「こんな感じの本」という原型が出来上がりました。

さらに、編集者の方とのやりとりなどを経て、原稿が入稿されたのは、KJ法に着手してから九か月後でした。

完成の見通しが立たないなかでの文字通りの「暗中模索」でしたので、「本当に書けたんだぁ!」という喜びもひとしおでした。

川喜多氏の言うところの、KJ法を実践してみた人にしか分からない「これが本当にまとまるのだろうかという絶望感」や、作業を続けるうちに不意に訪れる「突然、視界がパッと開ける感じ」など、これまで文字でしか読んでこなかった経験を、今回は、私自身が実感(追体験)することができました。

ただ、それぞれの作業工程で、ものすごいエネルギーを費やしました。

「また、KJ法で本を書きたいか」と聞かれたら、「少し休んでから考えてみます」と答えたいです(笑)。

最後までお読みいただき、有難うございます。

次回からは「宗教とQOL」について、お話したいと思います。