投稿日: May 13, 2018 6:23:57 AM
やがて両親がERに駆けつけてきました。
「アマンダ、大丈夫?」
少女はうつむきながら、言葉を絞り出します。
「パパ、ママ、こんなことになってごめんなさい」。
父親が医師に言います。
「すみませんが、家族だけで話し合いをさせてください」。
医師はその場を外します。
その後、父親は医師に伝えます。
「連れて帰りたいので、必要な書類にサインします。胎児の検診は自分で頼みますので」。
医師は驚いてしまいます。
「生むことにしたんですか!?だって、お嬢さんは、まだあんなに若いし、思いがけないことで…」。
「いや違う」と、父親は力説します。
「アクシデントじゃない。あなたには分からないだろうが、これは神の思し召しで、神に授かったものです」と。
カトリックでは、人命はすべて、神の意志によって創造されたものになります。いきさつはどうであれ、宿ったいのちはすべて、神から贈られた神聖なギフトです。その神聖ないのちを、人の手で殺めることなど、到底許されないとされています。
医師:「長い目でお考えになった方がいいと思いますが」
父親:「あなたこそ、精神的な影響をお考えになるといい」
医師:「考えられるすべての選択肢を患者さんに示すのが、私の仕事です」。
父親:「人命は創造されたもので、その誕生を妨げることは道徳的に誰にも許されない」。
母親もまた、カトリックの教えに従おうとします。
「宿った赤ちゃんには何の罪もないわ。私たちに決める資格はありません」。
医師も必死に説得します。
「お嬢さんはまだ15歳の少女で、レイプされたんですよ。それを一生背負わせるんですか?」
「強制するつもりは一切ないわ。あの子も私たちと同じ考えなの」。
「お嬢さんは生みたくないんですよ!お嬢さんのために何がベストなのか、考えたらどうですか?」
「赤ちゃんを殺すのが、あの子のためだっていうの?断言できるけど、神はけっして許しはしません」。
ここまでの会話を聞いて、みなさんが、このドラマのなかの医師だったとしたら、どうしたいと思いますか。
宗教的信念にしたがって、生ませることを決心した両親に対して、「少女の気持ちを考えてあげて」と主張しますか。レイプで妊娠してしまった場合、その子どもを生んで育てるということは、本人自身のこの先のQOL(人生の質)に大きく関わる問題です。だから、医師も、中絶という選択も含めて、「本人にとって何がベストなのか」を慎重に考えてもらうように働きかけていたのです。
あるいは、少女も親と「同じ考え」だとしたら、それを尊重しようと思いますか。少女の正直な心情は、この時点でははっきりとは分かりませんが、少なくとも、彼ら家族は、同じカトリックの宗教的価値観を共有しているはずです。