ボンIWE第8回シンポジウム「未来の生活」

投稿日: Sep 29, 2014 3:59:52 AM

ボンの科学倫理学研究所(IWE)から第8回ボン・シンポジウムの案内が送られてきました。テーマは「未来の生活-ホーム・インテリジェンス、ものごとの情報化、ICTを活用した生活支援(AAL)」といったものです。

欧州委員会は、2020年までの活動計画(The Europe 2020 Strategy)で高齢社会と情報社会の融合を目指し、その中核的技術としてAALの技術開発と普及を挙げています。とくに、ドイツは、AALの国際標準化に積極的で、2010年にIEC(国際電気標準会議)に欧州規格、すなわちドイツの規格の国際標準化を提案しています。IWEのシンポジウムもこうした流れの中に位置づけられると思います。

日本でも同種の技術(ユビキタスUbiquitousやTRONプロジェクト)が話題になっていましたが、その後、どのような展開を見せているのでしょうか。

AALは、空気のように周囲を取り囲み、わたしたちの生活を支援する技術を意味します。この技術の国際標準化は、それを成し遂げた国の産業界や企業にとって大きなメリットになります。その影響は、テレビの高解像度や電気自動車の電源に関する国際規格よりもはるかに広範囲に及ぶでしょう。なぜなら、その技術は、個々の技術革新を包括し、「未来の生活」全般に深く浸透していくからです。

AALが高齢化社会を支えるインフラとして実用化されるならば、認知症高齢者の徘徊や行方不明などの問題も解決することができます。高齢化社会とAAL技術との融合こそ、深刻な少子高齢化の問題を抱える日本が解決策を世界にアピールできる課題なのではないでしょうか。

鵜澤和彦