在宅医療は家族医療(3)――ホームとアウェイ――

投稿日: Jan 24, 2019 8:59:6 AM

そもそも病院は治療をするところ(医学モデルが公然と適用される場所)で、医療者にとってのホームグランドです。そこに招かれた家族にとっては、病院は完全にアウェイで、医療者がイニシャチヴを取ることが自然に思われます。

対する家庭(ホーム)は、患者だけではなく、同居家族にとっての「ホーム」でもあります。医療者やケアスタッフは、多くの場合、単身で患者宅を訪問し、相手の「ホーム」で、相手チームに取り囲まれながら、「アウェイ」で仕事をすることになります。

そのような状況では、家族の患者に対する実生活での長年にわたる感情的な関わりが、ケアや医療の方針に決定的な影響を与えます。ですから、在宅での医療やケアの倫理問題を理解する際に意識しなければならないのは、そのケアに家族が(良くも悪くも)密接にかかわるということです。

冒頭にあげたケースのように、患者の望む治療方針と、家族のそれとが食い違っている場合、ケアスタッフは、どちらを優先させればよいのでしょうか。