鈴木俊洋著『数学の現象学』合評会

    • 日時: 2014年8月7日(木曜日)14:00-18:00

    • 会場: 東海大学高輪キャンパス 4号館1階 4101教室(四号館の一階)(http://www.u-tokai.ac.jp/about/campus/takanawa/)

    • 企画: 秋葉剛史(成城大学非常勤講師)・植村玄輝(成城大学非常勤講師)

    • 司会: 秋葉剛史

    • 提題者: 鈴木俊洋(上智大学)、稲岡大志(神戸大学)、秋吉亮太(JSPS/京都大学)、富山豊(JSPS/北海道大学)

開催趣旨

最初期の論文・著作のタイトルの変遷――「変分法への寄与」(1883年)から「数の概念について」(1887年)・『算術の哲学』(1891年)へ――を眺めるだけでも分かるように、フッサールの哲学者としてのキャリアは、数学から数学の哲学へと関心を移すことではじまった。また、数学をめぐる哲学的問題にフッサールが生涯を通じて関心をもっていたことは、現象学の創始者としての名声を築くことになるその後の著作からも窺い知ることができる。これらのことは比較的よく知られているものの、フッサールの数学の哲学に関する日本語の本格的かつ包括的なモノグラフは、本合評会で取り上げる鈴木俊洋氏の『数学の現象学:数学的直観を扱うために生まれたフッサール現象学』(法政大学出版局)が2013年に公刊されるまでは存在しなかったといってよい。日本のフッサール研究にとって、同書の登場は歓迎すべき事件である。

だが、『数学の現象学』は先行研究が手薄な方面を単に補うだけの手堅い本ではない。フッサールに依拠しつつもそれを超えて独自の現象学的枠組みを作り出す試み――たとえば、「近位項」と「遠位項」という概念の導入による志向性理論の一般化――という側面を備え、さらには技術の哲学への接続を見据えた同書は、フッサール研究者のみならず、数学の哲学や現象学のさらなる展開可能性といった問題に関心を持つ人に対しても大きなアピールを持つに違いない野心的な著作である。

そこで今回の合評会では、数学の哲学を研究領域とする稲岡大志・秋吉亮太の両氏を評者としてお招きして、『数学の現象学』が彼らの目にはどのように映り、そこで彼らが何を考えたのかについて提題していただく。もちろん同書のフッサール研究・現象学研究書としての側面についても、もう一人の評者である富山豊氏に存分に語っていただくことになる。以上三つの提題に著者の鈴木氏による自著紹介と応答が付け加わることによって、『数学の現象学』の魅力と数学の現象学の今後の課題が浮かび上がるだろう。

プログラム

イントロダクション(10分)

鈴木俊洋「自著紹介」(20分)

三人の評者による発表(それぞれ最大30分:順番は追って発表します)

休憩(15分)

著者の応答(45分)

全体討論(60分)

(合計で最大四時間)