地質観光マップのQRコード 解説ページ一覧袋田の滝③海底火山の断面-袋田の滝

③海底火山の断面-袋田の滝

日本列島には火山がたくさんあります。現在、これらの火山は海溝(図の青い線。日本列島の主に東側に位置する海が深い部分。日本海溝など。プレートが沈み込んでいるところです。)から一定の距離の場所に並んでいます。

火山の並びのうち一番海溝に近い列を火山フロント、あるいは火山前線といいます(図の赤い線)。茨城県周辺では、栃木県の西部(那須や日光など)や群馬県の西部(浅間や赤城など)が火山フロントです。日本列島のうち、本州にある活火山の多くは陸上の火山です。

一方、伊豆諸島-小笠原諸島-マリアナ諸島に沿っては火山島を作っている火山だけではなく、海底火山がたくさん存在します。これらの海底火山もちゃんと並んでいます。

一方、現在の茨城県には活火山はありません。なぜ当時の大子に火山ができたのでしょうか?


↓さらに詳しく知りたい方へ

皆さんは地球の表面がいくつものプレートで覆われているのをご存知でしょうか?プレートは硬い岩石で、その下の柔らかい岩石の動きに乗ってたえず動いています。その動きによってプレート同士でぶつかったり一方がもう一方の下にもぐりこんだりします。プレートテクトニクスの詳しい解説はコチラを参考にしてください。日本列島は、プレートがもぐりこんでいる場所になります。海溝はプレートの協会にあたります。茨城県は北アメリカプレートというプレートに乗っており、東からは太平洋プレートがその下にもぐりこんでいます。

さて、もぐりこんだプレートが、ある一定の深さまでもぐると、一部の岩石が溶けてマグマが生まれます。その後マグマは上昇し、火山が噴火します。 

ここで重要なのが、岩石が溶け始める場所が一定(深さ200km前後)ということです。そのため、火山フロントは規則正しく列になります。

一方で、この火山フロントは沈み込むプレートの角度によって場所が変わると考えられています。岩石が溶け始める深さが一定ならば、プレートのもぐりこむ角度が緩やかなときほど火山フロントは海溝から遠くなり、急なほど海溝に近くなります。

もしかしたら、袋田の滝をつくる海底火山が噴火していた当時、プレートのもぐりこむ角度が急で、火山フロントが今よりずっと東側に移動していたのかもしれません。しかし、本当の原因はまだわかっていません。あなたも是非考えてみてください。