2018-02-21 ウグイ属比較系統地理論文が出版されました

Post date: Feb 21, 2018 3:45:39 PM

着手以来20年のウグイ属4種の比較系統地理論文がようやく出版されました(一つ肩の荷が下りました)。

Watanabe, K., H. Sakai, T. Sanada and M. Nishida. In press. Comparative phylogeography of diadromous and freshwater daces of the genus (Cyprinidae). Ichthyol. Res. https://doi.org/10.1007/s10228-018-0624-9 (2018)

(渡辺・酒井・眞田・西田.2018.通し回遊性および淡水性のウグイ属魚類の比較系統地理.Ichthyological Research誌)

これまでいくつかあるウグイ属の内外の系統・集団論文ですが、初めて全4種について、分布域を網羅して、mtDNAのみではありますが、程々のデータ量で分岐年代推定、系統地理分析を包括的に行ったものです。

大雑把な内容は、

・(mtDNAからは)分布の狭い淡水種の起源が新しいわけではなく、淡水性という特性が影響しているだろう。

・マルタ+ジュウサンウグイとウグイはよく似た集団構造を共有するが、その形成順序や時代は異なる。

・ウグイの分布域拡大力はすごく、中央山地(フォッサマグナ)は越えるし(太平洋側から日本海側)、朝鮮半島から九州北部に侵入している(ただし更新世中期)。

・ただし、mtDNAによる偏りや分岐年代については再検討の余地は残る。

福井県立大時代に共著者眞田さんの卒業研究でベースを作った研究ですが、大幅にサンプルやデータを増し、解析を刷新して、この度公表に至りました。

出版に至るまでの関係者、編集・査読関係の皆さんに感謝です。