2013-12-11 ミヤコタナゴMHC論文出版

Post date: Dec 11, 2013 2:06:48 PM

栃木県水試の久保田さんとの共著論文が出版された.

Kubota, H. and K. Watanabe. 2013. Loss of genetic diversity at an MHC locus in the endangered Tokyo bitterling Tanakia tanago (Teleostei: Cyprinidae). Zool. Sci., 30:1092–1101. Doi: 10.2108/zsj.30.1092

野外集団および栃木県水試で系統保存されているいくつかの希少魚ミヤコタナゴの系統について,これまでのmtDNA,AFLP,マイクロサテライトに加え,免疫反応に関わるMHC(主要組織適合遺伝子複合体)の一部の多様性を調べた論文.

特に抗原抗体反応に関わる領域で高い遺伝的多様性が見られたが,中立マーカーで遺伝的多様性が喪失した集団では,MHCでも遺伝的多様性が低下し,もともとの平衡化淘汰(超優性)よりも,遺伝的浮動が卓越するほど,集団サイズが低下していることを示した.

合わせて,絶滅危惧・非絶滅危惧の淡水魚のMHC (class II B exon 2) のこれまでの情報を取りまとめ,その中でもかなり遺伝的多様性が低下した状態にあることを示した.さらに,かなり昔に異なるESUを混合した飼育系統の保全上の使い道についても,踏み込んで考察した.

久保田さんの入念で開拓的な実験に深謝!