特論2013-11-19:Parker et al. 2013 Genome-wide signatures of convergent evolution in echolocating mammals Nature 502:228, doi:10.1038/nature12511

Post date: Jan 21, 2014 2:07:51 PM

特論2013-11-19

Parker et al. 2013 Genome-wide signatures of convergent evolution in echolocating mammals

Nature 502:228, doi:10.1038/nature12511

エコロケーションするコウモリの別系統,そしてコウモリとイルカの間で,聴覚や視覚に関係する遺伝子(アミノ酸置換)レベルで収斂がある,ということを,ゲノム比較(数千遺伝子座)で定量的に検出.

一部の遺伝子についてはすでに報告されていたが,驚きだ.

18種の哺乳類+今回4種のコウモリのゲノムデータを使って,系統的な枠組みで比較.

・わかりやすく面白い&パラレル進化した形質に着目

・ゲノムデータがかなり利用できるようになった,面白いグループを対象

オーソロガス・シングルコピーの遺伝子を選定(2万→7600座→2326座)

この方法だと,ゲノムが繋がっていなくても適用可能

HiSeq2000の500bp断片をつなぎあわせ,450bp以上のCDSを利用

系統的枠組み

H0: 本当の種系統樹

H1: 別系統のコウモリを単系統に制約

H2: コウモリとイルカを単系統に制約

遺伝子ごとに,各アミノ酸サイトの変異がどの系統樹を支持するか:site-wise log-likelihood support (SSLS)

⊿SSLS(H1)=SSLS(H0)-SSLS(H1)

H2も同様

...収斂-->負になる

(vs 中立or多様化-->正になる)

2326遺伝子座のうち,

H1で収斂を支持した遺伝子:824

H2を収斂を支持した遺伝子392

それぞれ1/3,1/6が収斂的!

顕著なもの...聴覚(これまで収斂がわかっていたものを含む)や視覚関係の遺伝子

H1(コウモリ2系統),H2(コウモリとイルカ)で収斂的遺伝子に違い

遺伝子群別に傾向を比較しても同じ結果

・遺伝子機能ネットワークの中でも中心的な遺伝子

・遺伝子の中でも,少数のアミノ酸サイトのみが強い収斂傾向を示す

・各遺伝子の|⊿SSLS|とdN/dS(正の選択の指標)との相関の検討

...

関係論文

聴覚遺伝子の収斂進化(コウモリやイルカ)

Li, G. et al. The hearing gene Prestin reunites echolocating bats. Proc. Natl Acad. Sci. USA 105, 13959–13964 (2008).

Liu, Y., Rossiter, S. J., Han, X., Cotton, J. A. & Zhang, S. Cetaceans on a molecular fast track to ultrasonic hearing. Curr. Biol. 20, 1834–1839 (2010).

Davies,K.T.J.,Cotton,J.A.,Kirwan,J.D.,Teeling,E.C.& Rossiter,S.J. Parallel signatures of sequence evolution among hearing genes in echolocating mammals: an emerging model of genetic convergence. Heredity 108, 480–489 (2012).