2014-8-2 魚類学会市民公開講座「絶滅危惧種アユモドキ」開催

Post date: Aug 4, 2014 4:29:13 AM


魚類学会市民公開講座「アユモドキ」@京大が終了.まずは講演者,来場の約100名の皆さんに深謝.学生スタッフにも感謝.

内容の詰まった講演・報告4題.アユモドキとはどういったルーツをもつ存在で人間とのどのような関係で生きてきたのか(細谷氏).水田の生物多様性を人間の心の鏡(内なる多様性)として捉え,新たな水田と生物の認識を深める可能性について(日鷹氏).

岡山でのアユモドキの詳しい研究成果と保全活動のリアルな課題をわかりやすく提示(阿部氏),近畿そして亀岡のアユモドキの現在の課題を多面的にわかりやすく提示し,自然が科学技術でコントロールできるという誤解に対して明快に警告し,目に見える/見えない水の流れの重要性を指摘(竹門氏).

パネルディスカッションは残念ながら時間不足で,個人的には消化不良も残ったが,会場の質問に答える形で,様々な視点から行政と市民の環境保全へのあり方にコメント.またコーディネータを始め,アユモドキ,亀岡の現状認識に対する鋭い意見も聞かれた.

で,亀岡のアユモドキの保全はどうするのだ,という核心に関する議論の深みや展開を期待した人には,消化不良だったかもしれない.しかし,まずはアユモドキとは,水田湿地生物多様性とは,またアユモドキの保全の難しさとは,といった問題をより正しく深く理解することが,真に良い解決に向かうためには必須だと思う.亀岡周辺では依然でたらめな言説がまかり通り発信され続けている.

あと個人的に,アユモドキ保全は亀岡のアイデンティティの認識とそれを大事に肯定的に捉えること,愛することに直結することであり,決して開発との対立といった単純な問題ではないと明快に論じた亀岡スタジアムの問題に関する講演に深く納得した.