生物学セミナー2014(その4) 2014-12-5:Broennimann et al. (2014: Nature); Helmus et al. (2014: Nature); Crerar et al. (2014: Biol Lett)
Post date: Dec 13, 2014 3:16:30 PM
(6) Broennimann et al. (2014) Influence of climate on the presence of colour polymorphism in two montane reptile species. Biol Lett 10: 20140638
http://rsbl.royalsocietypublishing.org/content/10/11/20140638.full.pdf+html
体色多型(通常のパターン模様+黒化型が加わる場合がある)をもつヘビ2種の単型・多型ごとのニッチの重なりとニッチの幅を調べ,特に種内レベルで「温度黒化仮説」を検証.
予測通り,山間部で多型集団が存在し,種内の単型・多型間よりも別種の多型間の方がニッチが似る:黒化のニッチ決定における重要性を示す.
一方,予測に反して多型集団の方が単型集団よりもニッチは狭かった.
黒化(低温条件での運動性)は,対捕食戦術である隠蔽体色とのトレードオフであり,捕食圧に増す利益があるときだけ成り立つ.
(7) Helmus et al. (2014) Island biogeography of the Anthropocene. Nature 513:543-546
リンクURL:http://www.nature.com/nature/journal/v513/n7519/full/nature13739.html
カリブ海の島のアノールトカゲの人為的影響のもとでの種多様性決定を,「島の生物地理」の人新世バージョンとして解析.
MacArther & Wilson的な種数ー面積(移住,種分化,隔離)関係に”経済的隔離度”が加わることにより,
トカゲの移入が増えると,
・もとの生物相が貧相なところで外来種が増え,
・種分化の影響(固有性)があいまいになり
・種数―面積関係が強まり
・種数―隔離関係が弱まる
(8) Crerar et al. (2014) Rewriting the history of an extinction---was a population of Steller's sea cows (Hydrodamalis gigas) at St Lawrence Island also driven to extinction? Biol Lett 10:20140878
http://dx.doi.org/10.1098/rsbl.2014.0878
18世紀に見つかって30年以内に絶滅させられたアリューシャン列島周辺のステラーカイギュウが,実はもっと北のセントローレンス島にもいて,1000年ほど前に,気候変動かイヌイットに食われて絶滅していた,という古生態学的論文.
加工品(ナイフ)の骨からDNAと安定同位体試料を得て分析.
mtDNAでステラーカイギュウだと確定し,AMSで年代推定,安定同位体(C, N)でベーリング島のものとは違うことを示した.
Discussionで安定同位体C, Nの意味するところの説明が逆のような...
そして図が正しければ,セントローレンス島のものはベーリング等のものより3−5パーミルも異なり,ケルプではなく.ウニでも食ってたかのような...でも説明が逆(Cを栄養段階を反映としている)のせいで,このような議論はない.
私の勘違いなら誰か教えて.