2013-5-8 設楽ダムと亀岡スタジアム建設

Post date: May 8, 2013 11:11:49 AM

日本自然保護協会の「自然保護」の最新号に,亀岡アユモドキ生息地でのスタジアム建設と設楽ダムの記事が出ていた.

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設楽ダム,10年以上,天然記念物ネコギギ等魚類の検討委員会として携わってきたが,極めて多くの知見が得られたにも関わらず,保全に関してはまったく見通しが立っていない.

ダム建設を行わないのが生物多様性・生態系保全上ベストなのは言うまでもない.

が,社会的な合意のもとでダムを建設する場合を想定して,保全の論理上,おそらく唯一と思われる前向きな方向性を検討してきた.つまり,ダム建設地の消失予定集団を,もともと生息していたが環境が劣化して絶滅してしまった場所を改善して,移植放流し,定着させることにより,代替措置とするものだ.

http://www.cbr.mlit.go.jp/shitara/01menu/14nekogigi/nekogigi_info.html

これに向け,事業者は長らく大規模な調査・実験を真摯に進めてきているが,多くの技術的な壁にぶつかっている.

流域のほぼ全域にわたるネコギギの生息現状,生息環境条件,環境変動要因などが明らかになってきたが,移植・定着の検証実験が進まない.繁殖や健全な個体の育成がおぼつかない.そのため,予定の放流実験後のモニタリング時間がどんどん短くなる.放流予定地が道路工事などのために劣化する.なぜか流域全体の個体数が減少する...などなど.

魚種は違うが,このような経験のもと,亀岡のアユモドキ生息地で大規模サッカースタジアムを建設するという計画において,たかだか2年足らずの保全計画・調査で果敢にも一発勝負をチャレンジしようとする京都府と亀岡市の蛮勇に...もう何というか...そこまで専門家,あるいは人類の能力は高くない,と残念な具申を行わざるをえない.

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130502-00000230-mailo-l26