2011-4-12 とうとう出ました:ハリガネムシ論文
Post date: Apr 14, 2011 8:47:28 PM
現・京大白眉特定助教の佐藤拓哉さんを中心とするハリガネムシによる森から河川生態系へのエネルギー流駆動論文がとうとうEcologyに正式に掲載されました(出版上の問題のため,1号なのに4月にずれ込んだようです;;)
京大HPで紹介していただいています→リンク
SatoT, Watanabe K, Kanaiwa M, Niizuma Y, Harada Y. and Lafferty K. D. (2011) Nematomorph parasites drive energy flow through a riparian ecosystem. Ecology 92: 201-207
ハリガネムシに操作されて入水するカマドウマやキリギリスが,その時期(晩夏〜秋)のイワナの餌の80%,また1年全体でも60%を占めることが明らかになりました.渓流域では,河川内の一次生産より,落葉や昆虫”落下”などの外部からのエネルギーが主に食物連鎖の基礎をなすことが指摘されてきましたが,今回,渓流魚の餌となる動物性のエネルギー流入は,寄生虫が(無視できないどころか)優占的な働きをもって駆動していることが明らかになったわけです.つまりハリガネムシは「森と川を結ぶ赤い糸」といえそうです.続編に乞うご期待.