2015-07-19 カマツカ隠蔽系統論文が出版されました。

Post date: Jul 19, 2015 6:37:20 AM

当研究室の大学院生だった富永さんが中心となり、福岡の中島さんと共同で進めたカマツカ隠蔽系統論文がIchthyological Research誌に出版されました。

Tominaga, K., J. Nakajima and K. Watanabe. In press. Cryptic divergence and phylogeography of the pike gudgeon Pseudogobio esocinus (Teleostei: Cyprinidae): a comprehensive case of freshwater phylogeography in Japan. Ichthyol. Res. DOI: 10.1007/s10228-015-0478-3. (2015)

全国約200河川からの1200のサンプルを富永さんの全国行脚を中心に集め、中国の先行研究(Xia et al. 2005)の助けもあり、mtDNAと一部核DNAの分析から、カマツカ類の3つの隠蔽系統の存在と系統的位置を明らかにし、また分岐年代推定を行いました。

西日本に広く分布するおそらく真のカマツカ(グループA)のほかに、中央高地(フォッサマグナ)を挟んだ地理的代置系統であるグループB(西日本)、グループC(東日本)が存在します。いくつかの系統地理解析も組み合わせ、西日本のグループA、Bは山地等でさらに複数の地域個体群グループに分かれ、一方、グループCの大部分は山形地域から相対的に近い過去に東日本に大きく広がった可能性が示されました。

日本列島の淡水魚の系統地理研究の一里塚と自画自賛しています(笑

サンプル採集を助けてくれた全国の皆さん、IR等の編集・査読者の皆さんに感謝。あと富永くんの全国行脚を可能にしてくれた笹川助成にも感謝。

オープンアクセスではないので、ご連絡いただければPDFをお送りします。ご遠慮なく。