2005年、ロシア/イタリア/フランス、監督:アレクサンドル・ソクーロフ、舞台となる地域:日本
1945年8月の敗戦前後の昭和天皇の思いや行動などを描く。一般的に1946年の人間宣言によって天皇は現人神とはみなされなくなったとされている。家族を愛し、苦悩する一人の「人間としての天皇ヒロヒト」が、降伏後、マッカーサー司令官との会談や皇后との再会を経て、いかなる心持で人間宣言に至ったのかという過程に焦点があてられている。
2007年、日本、監督:降旗康男、舞台となる地域:日本
主人公の彦四郎が、江戸向島の有名な「三圍稲荷」と間違えて拝んだ「三巡稲荷」は、貧乏神・疫病神・死神という不幸の神々を招く社であった。神々がユーモラスな姿で次々と彦四郎のもとにやってきて、不幸をもたらしはじめる。そこで彦四郎は、修験の修行を始めた小文吾らとともに、祟りをよそへと振り替えようと試みる。作品中で描かれる神々と人間との近しい交流・交渉には、日本の民俗宗教的思考があらわれているといえるだろう。
2017年、日本、監督:グ・スーヨン、舞台となる地域:日本
福岡県の神社を舞台に、アルバイト巫女として働く”しわす”と、神社に忍び込んで悪戯を繰り返す少年との交流と成長を描く映画。就職活動がうまくいかないしわすは、父親が宮司を務める神社で嫌々ながら働いているため、その巫女らしくない振る舞いをたびたび先輩巫女からたしなめられている。映画の主軸は育児放棄されている少年と、母親に捨てられた記憶から人間不信に陥っているしわすの交流であるため、神社や神道などの宗教文化は物語の舞台背景となっているが、主人公のしわすはほとんどの場面で巫女装束を着用しており、アイコンとしての巫女の位置付けがよく表れている。
2007年、日本/中国、監督:李 纓、舞台となる地域:日本
2007年の公開時には一部の上映予定館に右翼の街宣車が押し掛けたことから、上映予定の自粛が広がった。一時は「社会問題」として取り沙汰されたが、無事公開されてからは騒動は急速に収束したという。内容もさることながら本作をめぐるこうした動きにも「靖国」をめぐる緊張を見て取ることができる。