インド

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ガンジー

1982年、イギリス/インド、監督:リチャード・アッテンボロー、舞台となる地域:インドパキスタン、バングラデシュ、イギリス

インド独立の父、ガンジーの半生を描いた作品。南アフリカで弁護士活動をしていたガンジーは差別に遭った。その経験から暴力を一切用いない運動をしようと決意。インドに帰ったガンジーは独立運動を率い成果を挙げていくも、暴力を起こした時点で運動を中止する。インド独立を旗印にそれまで統率がとれていたヒンドゥー教徒とイスラム教徒は次第に分離・対立していく。第2次世界大戦後にインドは独立するも、ガンジーはヒンドゥー至上主義者に暗殺され、その生涯を閉じた。ガンジーの理想と独立を望む人々の思いとの葛藤に注目している。


恋する輪廻~オーム・シャンティ・オーム

2007年、インド、監督:ファラー・カーン、舞台となる地域:インド

脇役俳優の主人公のオームは、人気女優のシャンティに恋をする。しかし、シャンティは恋人のムケーシュに命を狙われていた。殺されそうになった彼女を助けるために命を落としたオームは生まれ変わり、超人気俳優になる。前世の記憶を次第に取り戻した彼は、ムケーシュへの復讐を心に決める。輪廻転生が物語の鍵となる。


最高の人生の見つけ方

2007年、アメリカ、監督:ロブ・ライナー、舞台となる地域:アメリカエジプトインド

病院でたまたま同室となった自動車整備工のカーターと、病院経営者のエドワード。二人はともに余命いくばくもないことを宣告される。彼らは棺桶に入るまで にやりたいことのリストを作成し、次々と実行していく。信仰をもち家庭を大切にするカーターと俗的な楽しみを追及する富豪のエドワードという対照的な二人 の対話には、現代アメリカ人の信仰や成功、倫理に関する考え方が垣間見られる。


聖者たちの食卓

2011年、ベルギー、監督:フィリップ・ウィチュス、ヴァレリー・ベルトー、舞台となる地域:インド

シク教の本山、ハリマンディル・サーヒブ(通称黄金寺院)では、毎日5万から10万人の訪問者たちに無料で食事が振る舞われている。同作は、この膨大な量の食事が用意されていく様子を描いたドキュメンタリーである。ランガルと呼ばれる無料食堂では、性別、年齢、宗教などに関わりなくすべての人が同じ床に座る。食事は、巡礼者や信者、また信者以外の訪問者にも等しく提供される。シク教の平等主義が、こうした食事の場面を通して描き出される。


セブン・イヤーズ・イン・チベット

1997年、アメリカ、監督:ジャン・ジャック・アノー、舞台となる地域:オーストリア、チベット、インド

オーストリアの登山家が、第二次世界大戦中の自らの体験をもとに書いた自伝的小説を原作としている。戦争捕虜となった主人公が、収容所から脱走。苦労してチベットに入り、運よくラサでの滞在を許される。幼いダライ・ラマ14世にも謁見し、彼との絆を深めていく中で、彼自身の心も解放されていく。「知られざる、神秘の国」のチベットに対して欧米人が抱いている憧れがよく表れているといえる。


食べて、祈って、恋をして

2010年、アメリカ、監督:ライアン・マーフィー、舞台となる地域:アメリカイタリアインドインドネシア

35歳で人生をリセットするために旅に出た一人のアメリカ人女性が主人公である。ローマでは食を満喫し、インドでは瞑想をし、インドネシアでは人生を左右 するような占い師と出会う。世界を股にかけたグローバル時代の自分探しが描かれているといえるが、そこに登場する「外国」はあまりにステレオタイプ的であ るといえよう。瞑想や占い師といったものに代表される「神秘的」な東洋というイメージが未だに根強いものであることがわかる。


PK

2014年、インド、監督:ラージクマール・ヒラニ、舞台となる地域:インド

宗教対立が問題となるインドの現状に一石を投じる社会派映画。主人公である宇宙人のPK(酔っ払いの意)が、地球に降り立つ際に無くしてしまった宇宙と交信するための道具を探す姿を通して、社会の矛盾や問題を描き出している。地球人が口にする神という存在に気付いたPKも短期間に様々な宗教の神にすがるが、その過程で神の代理人を自負する人々の独善性や排他性にも気付いていく。監督が「人は宗教や思想によって分断されるべきではない」とその哲学を語っているように、PKが道中あらゆる宗教の寺院や信者のもとを訪れるなかで、人間の信仰の真理に壁はないということを見出す様子がコミカルに描かれる。インドの人々の生活に根差した信仰の様子も知ることができる映画になっている。


ボンベイ

1995年、インド、監督:マニ・ラトナム、舞台となる地域:インド

インド社会におけるヒンドゥーとムスリムの対立というテーマを背景に、一組のカップルの運命を描く。両親の猛反対を押し切って結婚したヒンドゥーの男性とムスリムの女性。ボンベイに暮らす彼らとその家族は、この地で起こった宗教暴動に巻き込まれていく。


マイネーム・イズ・ハーン

2010年、インド、監督:カラン・ジョーハル、舞台となる地域:インドアメリカ

アスペルガー症候群のハーンを主人公にしたインド映画。彼は弟を頼ってアメリカに渡り、そこで知り合ったヒンドゥー教徒の女性と恋に落ちて結婚する。幸せ な日々を送っていたが、「9・11」が起こりアメリカ社会はムスリムに対して非常に厳しい眼差しを向けるようになる。ハーンはムスリムの名字であるため に、彼と彼の家族にも差別の目が向けられるようになる。ユーモアを交えながらも、宗教や民族の違いがもたらす差別という深い問題を扱っている。


ライフ・オブ・パイ~トラと漂流した227日

2012年、アメリカ、監督:アン・リー、舞台となる地域:インド

インドで動物園を経営していた少年パイの一家は、カナダへ移住を決断する。しかし、船が途中で遭難。16歳の少年パイは、ライフボートでベンガルトラと海をさまようことになる。パイはヒンドゥー教に親しみつつも、カトリックの信者、さらにはムスリムでもあろうとした人物である。彼とトラとの漂流というエピソードの裏には、生と死をめぐるテーマがちりばめられている。