中東周辺
アーン 鋼の騎士団
2007年、スウェーデン/イギリス/ドイツ/デンマーク/ノルウェー、監督:ピーター・フリント、舞台となる地域:中東周辺
12世紀という時代と十字軍をモチーフに、テンプル騎士団に所属する主人公の恋や戦い、また、エルサレムでのサラディーンとの出会いを描く。主人公は、敵であるサラディーンの高潔さにひかれ、互いに尊敬の念を抱くようになる。かつてのように、十字軍が聖地奪回のための正義の戦いとして物語られることはなく、むしろ、その残虐さや騎士団総長の無能さが描かれている点に現代的特徴を見出すことが出来る。
最後の誘惑
1988年、アメリカ、監督:マーティン・スコセッシ、舞台となる地域:中東周辺
イエスの生涯を描いた作品であるが、そのストーリーは聖書に基づく伝統的な筋書きとは異なっている。イエスは人間的欲望と神への信仰の間で激しく苦悶する 存在として描かれ、十字架での刑を生き延びてマグダラのマリアと家庭を築く。しかし、イエスがその生涯を閉じようとするとき、真実が明らかにされるので あった。一人の人間としてのイエスを描いた本作は、キリスト教徒からの激しい抗議を招いたことでも知られる。
ザ・メッセージ
1977年、アメリカ、監督:ムスタファ・アッカド、舞台となる地域:中東周辺、エチオピア
メッカの商人ムハンマドが、神の啓示を受けてイスラームを布教を開始し、メッカの民を心服させていく過程を描く。イスラームは偶像崇拝を禁止しているために、ムハンマドを主人公にした映像作品を作成することには困難が伴う。それゆえ、本作では、「預言者の具現化は、彼のメッセージの精神性を損なうと考えるイスラームの伝統を尊重する」との立場から、画面にムハンマドを登場させることなく、カメラアングルや他の人の台詞、目線によってその存在を示すという手法をとっている。
11'9"01/セプテンバー11
2002年、フランス、監督:(11ヵ国を代表する11人の監督)、舞台となる地域:アメリカ、イギリス、日本、中東周辺
2001年9月11日の同時多発テロをテーマに、11人の著名な映画監督の「11分9秒」の作品をつなげたオムニバス映画。米国、英国、日本、ボスニア・ ヘルツェゴヴィナ、メキシコ、フランス、イスラエル、イラン、インド、エジプト、ブルキナファソというそれぞれの国の監督が、独自の視点から9.11を描 く。9.11直後、多くのメディアでは米国政府の主張が大きく取り上げられたが、世界中ではそれとは異なる多様な解釈、反応、思いが存在していたことがわ かる。
マリア
2006年、アメリカ、監督:キャサリン・ハードウィック、舞台となる地域:中東周辺
天使ガブリエルによる受胎告知からイエス誕生までを中心に聖母マリアの半生を描く。新約聖書の4つの福音書ではイエスが十字架にかけられるまでが中心と なっているため、その母であるマリアに関する記述は少ないが、カトリックや正教会の信徒の間ではマリアに対する崇敬は非常に篤く、その半生も良く知られた ものとなっている。本作は、そうした聖母マリアの物語について学ぶきっかけとなるだろう。