1967年、イタリア、監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ、舞台となる地域:ギリシャ、エジプト
現代のイタリアで、とある夫婦に息子が生まれる。母親は息子を可愛がるが、父親は自分の息子が妻の愛を奪いとるだろうという強い予感を抱く。舞台は一転して古代ギリシャに移る。荒野に置き去りにされた幼い赤子が拾われ、神からの授かりものとしてコリントス王のポリュボスと王妃のメロペーにより実の息子のように育てられる。オイディプスと名付けられ成長した青年は、自分が王夫妻の実子でないことを疑い、真実を得ようとアポロンの神殿に行くが、そこで「実の父親を殺し母親と情を通じるだろう」という不吉な予言を授かり、コリントスに戻れず放浪することになる。導かれるようにテーバイに向かうと、途中でオイディプスを物乞いと罵り道を譲るよう命令する横柄な男と出会い、男を従者共々殺してしまう。たどり着いたテーバイでは暗黒の国からやってきたスフィンクスが人々を迫害していたため、オイディプスがこれを倒すと、テーバイの王となり先王の妃であったイオカステと結ばれる。しかし、オイディプスがテーバイに来てから凶作や疫病などの災難が続き、原因を探るため神託を受けることになる。古代ギリシアの詩人ソポクレスによる、ギリシャ神話を題材にした悲劇『オイディプス王』を下敷きとするが、古代ギリシャの物語を現代の描写で挟み、我々に不気味なリアリティを突きつける構造となっていることがこの映画の特徴である。
2002年、アメリカ、監督:ジョエル・ズウィック、舞台となる地域:アメリカ、ギリシャ
ギリシャ系米国人女性トゥーラと、典型的な白人中流階級の男性イアンが、家族の反対や文化の違いを乗り越えて結婚するまでの道のりをコミカルに描く。イアンがギリシャ正教徒になるために洗礼を受けるシーンや二人の結婚式のシーンには、ギリシャ正教の儀礼が行われる。また、トゥーラの家族の日常を通して、祖国の宗教伝統と深く結びついた移民たちの暮らしぶりも描かれている。