2007年、日本、監督:ティエン・チュアンチュアン、舞台となる地域:日本、中国
昭和の天才棋士とうたわれた呉清源の生涯を描く作品。中国で生まれた呉は、その囲碁の才能を見込まれて日本に帰化するが、日中戦争や太平洋戦争といった波乱の時代を生きることとなる。彼は、当時メディアを騒がしていた新宗教、璽宇に入会し、それ以前には中国で諸宗教間の連帯・調和を目指す紅卍会に入会していた。勝ち続けることが求められる彼の棋士人生において、宗教がいかなる役割を果たしてきたのかを考えてみると興味深い。
1977年、香港、監督:リュー・チアリァン、舞台となる地域:中国
17世紀、清の時代の少林寺における修行の階梯と、それを乗り越えていく主人公の成長が描かれる。舞台とのなるのは、崇山少林寺である。この古刹には、達磨太子が壁に向かって9年間座り続けたという伝説が残っている。さらに、曹洞禅を伝えた寺としても知られている。ちなみに、崇山少林寺と日本少林寺拳法とはまったく別の組織であるが、日本少林寺拳法も曹洞禅の教えを一部取り入れており、両者は交流を続けている。
2011年、中国/香港、監督:ベニー・チャン、舞台となる:中国
20世紀初頭、軍閥同士の覇権争いに少林寺の僧たちも巻き込まれていく。拳法で知られる少林寺は禅宗であるが、劇中で死者への供養のため「南無阿弥陀仏」 と唱えられている。それは中国では日本とは異なり、禅宗と浄土教が融合したためである。ストーリー自体はそうした宗教的背景を直接的に反映したものではな いが、部分的に中国における仏教文化を感じることが出来る。