イラン

イラン

アルゴ

2012年、アメリカ、監督:ベン・アフレック、舞台となる地域:イラン

1979年11月に起こったイランのアメリカ大使館占領事件を題材にとった作品。カナダ大使館に逃げ込んだアメリカ人大使館員を救出するために、主人公のCIA職員は大使館員たちが「アルゴ」という映画の撮影隊であると欺き、彼らを出国させようと試みる。実際に起こったこの占領事件は、同年2月のイラン・イスラーム革命を背景としている。革命により失脚したイランの元国王は、アメリカに移住していた。元国王の引き渡しを求めるイラン側に対して、アメリカがこれに応じなかったため、一部の国民の怒りをかい大使館占拠へと発展したというのがその経緯であり、作品冒頭ではそうした政治・宗教的背景が短く紹介されている。


桜桃の味

1997年、イラン、監督:アッバス・キアロスタミ、舞台となる地域:イラン

イランの首都テヘランで自殺を希望する男が主人公の話。男は自殺を手助けしてくれる人物を探していた。手助けの内容は、男が自分で掘った穴に入り、首尾よく死んでいたら、土をかけて穴を埋めてほしいというもの。しかし、誰も引き受けてくれない状態が続くのであった。イランはイスラム教シーア派を国教としているが、本作ではその教えから離れた宗教観も垣間見える。


カンダハール

2001年、イラン/フランス、監督:モフセン・マフマルバフ、舞台となる地域:イランアフガニスタン

9.11前に作られたため、それ以前のアフガニスタンの情景を意図せずして映し出している作品。作品中には、アフガニスタンにおけるイスラム教徒の生活や習慣が垣間見える。主人公でアフガン人ジャーナリストであるナファスはカナダで生活をしている。アフガニスタンのカンダハールに住む妹から自殺するとの手紙が来て、急いでアフガニスタンに向かう。タリバーン政権下では、女性の一人旅は困難をきわめる。ナファスは色々な人に助けてもらいながらカンダハールに向かうのであった。


10話

2002年、フランス/イラン、監督:アッバス・キアロスタミ、舞台となる地域:イラン

イランの首都テヘランで、自ら車を運転し、離婚も経験している活発な写真家の女性を主人公に、10の物語が展開される。黒いチャードルで全身を覆い、イスラームの戒律を厳格に守っているという海外からのイラン人女性のイメージを打ち壊すような「自立した」テヘランの女性たちの姿が描かれている。


ハーフェズ ペルシャの詩

2007年、イラン/日本、監督:アボルファズル・ジャリリ、舞台となる地域:イランアフガニスタン

ハーフェズ(クルアーン暗唱者)の試験に合格した青年のもとに、チベットから来た大師の娘の家庭教師の依頼がくる。やがて二人は許されぬ恋におちるが、大師にすぐに知られて引き離されてしまう。ハーフェズとは、14世紀のペルシャ古典文学最大の詩人の名でもある。彼の詩をなぞりながら、イスラーム的な戒律が支配する社会における男女の愛を描いたイラン映画である。


ペルセポリス

2007年、フランス、監督:マルジャン・サトラピ、舞台となる地域:イランオーストリア

1979年のイラン・イスラーム革命、そして翌年にはじまったイラン・イラク戦争の只中を生きたイラン人女性マルジ(原作者自身をモデルとしている)の体 験を描いたアニメ映画。イランで暮らすマルジが9歳の時革命がおこり、彼女は急速に自由が失われていくのを実感する。戦争がはじまり、戒律遵守が厳しく迫 られるようになっていく中で、マルジの将来を案じた両親は彼女をウィーンに留学させる。革命後のイランの様子と、そこに生きる人々の姿を垣間見ることが出 来る。


マールムーラク(蜥蜴)

2004年、イラン、監督:キャマール・タブリーズィー、舞台となる地域:イラン

イスラームの中でもシーア派が多数を占めるイランを舞台とした映画。主人公は脱獄に成功した逃走中の囚人であるが、ひょんなことからモスクの神学者と勘違いされてしまう。次第に彼の自由な説教が評となっていき、終いには彼の脱獄した刑務所で講話を行うことになってしまう。シーア派の人々の生活と信仰をうかがうことができる作品である。