オーストリア

オーストリア

枢機卿

1962年、アメリカ、監督:オットー・プレミンジャー、舞台となる地域:アメリカオーストリア、バチカン

第二次大戦前夜、枢機卿に叙されることになったアメリカ人司祭が、米国、バチカン、オーストリアで聖職者として過ごした半生を振り返る。若き日の彼は、難産になるとわかっていても、堕胎が認められないために命を落とした妹の存在や、魅力的な女性への恋心によって心を揺るがされるが、聖職者として生きることを決意する。米国では黒人差別と戦い、またオーストリアではナチズムが人々の信仰と人間性を破壊していく様を目撃する。カトリック教会とさまざま社会問題との関わりを垣間見ることが出来る。


セブン・イヤーズ・イン・チベット

1997年、アメリカ、監督:ジャン・ジャック・アノー、舞台となる地域:オーストリア、チベット、インド

オーストリアの登山家が、第二次世界大戦中の自らの体験をもとに書いた自伝的小説を原作としている。戦争捕虜となった主人公が、収容所から脱走。苦労して チベットに入り、運よくラサでの滞在を許される。幼いダライ・ラマ14世にも謁見し、彼との絆を深めていく中で、彼自身の心も解放されていく。「知られざ る、神秘の国」のチベットに対して欧米人が抱いている憧れがよく表れているといえる。


パラダイス・神

2012年、オーストリア/ドイツ/フランス、監督:ウルリヒ・ザイドル、舞台となる地域:オーストリア

熱心にキリスト教(カトリック)を信仰する妻の元に、事故にあって半身不随となったムスリムの夫が2年ぶりに帰宅する。夫の留守中、妻は信仰にのめりこみ、聖母マリア像を抱えひたすら伝道にエネルギーを傾けるようになっていた。そうした妻の姿に夫は驚きを隠すことができず、2人は激しくぶつかり合う。人間の弱さ、宗教と性などの問題について描かれている。


ペルセポリス

2007年、フランス、監督:マルジャン・サトラピ、舞台となる地域:イランオーストリア

1979年のイラン・イスラーム革命、そして翌年にはじまったイラン・イラク戦争の只中を生きたイラン人女性マルジ(原作者自身をモデルとしている)の体 験を描いたアニメ映画。イランで暮らすマルジが9歳の時革命がおこり、彼女は急速に自由が失われていくのを実感する。戦争がはじまり、戒律遵守が厳しく迫 られるようになっていく中で、マルジの将来を案じた両親は彼女をウィーンに留学させる。革命後のイランの様子と、そこに生きる人々の姿を垣間見ることが出 来る。