1977年、アメリカ、監督:ムスタファ・アッカド、舞台となる地域:中東周辺、エチオピア
メッカの商人ムハンマドが、神の啓示を受けてイスラームを布教を開始し、メッカの民を心服させていく過程を描く。イスラームは偶像崇拝を禁止しているために、ムハンマドを主人公にした映像作品を作成することには困難が伴う。それゆえ、本作では、「預言者の具現化は、彼のメッセージの精神性を損なうと考えるイスラームの伝統を尊重する」との立場から、画面にムハンマドを登場させることなく、カメラアングルや他の人の台詞、目線によってその存在を示すという手法をとっている。
2005年、フランス、監督:ラデュ・ミヘイレアニュ、舞台となる地域:イスラエル、エチオピア、スーダン
エチオピアには黒人のユダヤ人が住んでいる。聖地エルサレムへの帰還は彼らの夢であり、それを実現させるために1984年彼らを空路でイスラエルへと連れていく作戦(モーセ作戦)が行われた。主人公はその計画の際、ユダヤ人と偽ってイスラエルへと里子に出された少年である。本当はユダヤ人ではないことへの負い目、黒人に対する差別、そして彼を送り出した母への思いなどが、宗教や民族という問題を背景にしながら展開される。