2013年、フランス/イギリス、監督:スティーヴン・フリアーズ、舞台となる地域: アイルランド、 アメリカ
1952年のアイルランド、未婚のまま10代で身ごもった主人公のフィロミナは、体面をおもんばかった父親の意向で修道院に入れられる。男児を出産したものの、息子はある日、車でどこかへ連れ去られてしまう。50年後、フィロミナは出会ったジャーナリストと息子探しをはじめ、修道院によって息子がアメリカの家庭に売られていたことを知る。アメリカに渡った彼女たちは、次第に真実を明らかにしていく。家族の愛というテーマの他に、信仰についても観客に深い問いを投げかけるものとなっている。
2014年、アイルランド・ルクセンブルク・ベルギー・フランス・デンマーク、監督:トム・ムーア、舞台となる地域:アイルランド
アイルランドの神話をベースとして、妖精「セルキー」の母親と人間の間に生まれた兄妹を中心に話が展開する。セルキーはアイルランドやスコットランドなどにみられる神話上の生物であり、海中ではあざらしとして生活し、陸にあがるときは皮を脱いで人間の姿になると言われている。少年ベンは母から妖精セルキーや巨人の物語、歌などを聞きながら育ったが、母はベンの妹を産むと姿を消してしまう。大好きな母がいなくなったのは妹のせいだと思い込むベンの葛藤と成長、家族の再生が、精霊や妖精、巨人など、失われつつある神話や民話の世界観のなかで描き出される。
2006年、アイルランド/イギリス/フランス、監督:ケン・ローチ、舞台となる:アイルランド、イギリス
北アイルランド紛争はカトリック(アイルランド)とプロテスタント(イギリス)の間の対立という側面を強くもっている。主人公のアイルランドの青年は、イギリス兵士たちに抵抗する人々の姿に心うたれアイルランド独立のための闘いへと身を投じていく。1921年に停戦、講和条約が結ばれるが、今度はこの条約をめぐってアイルランド内部で対立が起こり、主人公はかつての仲間との争いを余儀なくされる。