1962年、アメリカ、監督:オットー・プレミンジャー、舞台となる地域:アメリカ、オーストリア、バチカン
第二次大戦前夜、枢機卿に叙されることになったアメリカ人司祭が、米国、バチカン、オーストリアで聖職者として過ごした半生を振り返る。若き日の彼は、難産になるとわかっていても、堕胎が認められないために命を落とした妹の存在や、魅力的な女性への恋心によって心を揺るがされるが、聖職者として生きることを決意する。米国では黒人差別と戦い、またオーストリアではナチズムが人々の信仰と人間性を破壊していく様を目撃する。カトリック教会とさまざま社会問題との関わりを垣間見ることが出来る。
2009年、アメリカ、監督: ロン・ハワード 、舞台となる地域:イタリア、バチカン、スイス
『ダ・ヴィンチ・コード』の主人公でもあるロバート・ラングドンが、核エネルギー以上の力をもつとされる反物質をめぐって引き起こされた殺人事件の謎を解 明していく。ヴァチカンでは次の教皇を決めるコンクラーベが開催されていたが、有力候補の枢機卿たちも、この反物質をめぐる陰謀に巻き込まれ次々と殺害さ れていく。秘密結社やカトリック等の宗教的モチーフをちりばめたエンターテイメント作品である。
2012年、ドイツ、監督:トミー・ヴィガント、舞台となる地域:イタリア、バチカン
熱心なカトリックのドイツ人女性が主人公。罪を告白するためローマ教皇への謁見を切望する彼女が、住んでいたカナダの田舎からバチカンを目指す。一人ローマへ辿り着いた彼女にはさまざまな出会いがおとずれ、その出会いを通して生きる喜びを見つけていく。思いがけない形で教皇との謁見が叶うまでの彼女の道のりがコメディタッチで描かれる。
1972年、イタリア/イギリス、監督: フランコ・ゼフィレッリ、舞台となる地域:イタリア、バチカン
中世イタリアにおける最も著名なカトリックの聖人「アッシジのフランチェスコ」(フランシスコ修道会を興したことでも知られる)の半生を描く。イタリア・アッシジの裕福な家に生まれた彼は、十字軍の遠征から戻ったある日、教会にある木製のイエス像の目が開いたことに気づき、何かに目覚める。身につけているものすら捨てて生まれ変わったことを宣言した彼は、家族のもとを離れ、サン・ダミアノ教会で少数の弟子たちと信仰生活を始める。地上の権威を否定し、清貧を説く彼の言葉には、ローマ教皇さえも心を動かされたのであった。
1992年、イギリス、監督:ピーター・リチャードソン、舞台となる地域:バチカン
教皇の死去に伴い、次の教皇を選出するコンクラーベが開催される。そこで選出されたのは、マフィアと手を組んだ枢機卿であった。しかし、耳の遠い書記官の ミスで名前が誤って記載され、田舎の陽気な司祭が次期教皇となってしまう。これまでにない自由な言動をする新しい教皇とその失脚をもくろむマフィアとの闘 いが描かれる。現実離れしたコメディではあるが、カトリック教会の政治性、避妊や女性司祭をめぐる問題などに対する鋭い批判が盛り込まれている。
2011年、イタリア/フランス、監督:ナンニ・モレッティ、舞台となる地域:バチカン,イタリア
人間味あふれるカトリック聖職者の姿を描いたモレッティ監督のコメディ映画。ローマ教皇の死後、コンクラーベ(次期教皇を選出する選挙) が行われるが、候補となる枢機卿は、みな「どうか私が選ばれませんように」と祈っている。ようやく選ばれたメルヴィル枢機卿は重圧に耐えかね、自分には無理と叫びローマの町に逃げ出してしまう。町をさまよい、「休日」を楽しみながらも、自分の人生は何だったのかと内省する枢機卿。権威的なバチカンへの皮肉とともに、人間の弱さを愛すべきものとして描いた人間賛歌になっている。