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2006年、フランス、監督:ジェラール・ユスターシュ=マチュー、舞台となる地域:フランス
トラピスチヌ修道院に暮らすアヴリルは、正式な修道女となることを目指す修練女である。ある日彼女は、他の修道女から自分に実の兄がいることを知らされる。ひそかに修道院を抜け出し兄を見つけだした彼女は、兄とその恋人の男性と共に過ごすうちに、次第に一人の女性としての生き方を見つけていく。修道女として一生を過ごすのか、それとも一人の女性として世俗の生を謳歌するのか。アヴリルの中に生じた葛藤が描かれる。
2004年、フランス、監督:トニー・ガトリフ、舞台となる地域:フランス、スペイン、モロッコ、アルジェリア
自分たちのルーツをたどるために、フランス旧植民地であるアルジェリアまで旅をするフランス人青年男女が描かれている。彼らは宗教には無関心であったが、道中で敬虔なムスリムに出会ったり、アルジェリアで宗教儀式に参加したりし、心境が変化していく。
2003年、フランス、監督:フランソワ・デュペイロン、舞台となる地域:フランス、トルコ
パリの下町で暮らす13歳のユダヤ人少年とトルコ系ムスリム移民の老人、宗教が違う2人が交流を深めていく物語。少年の両親が交通事故で亡くなった後、老人が少年を引き取り、2人でトルコに向かう。フランスでの反ユダヤ主義・イスラムフォビア(ムスリム嫌い)が反映している一方で、トルコでのムスリムの様々な信仰生活が描かれている。
2005年、フランス/スイス/ドイツ、監督:フィリップ・グレーニング、舞台となる地域:フランス
カトリックの感想修道院の中でも最も厳しい戒律で知られるカルトジオ修道会。映画は、普段は訪問者が入ることの許されないアルプス山中のグランド・シャルトルーズ修道院の日常を描く。修道士に会話が許されるのは日曜日の午後の散歩の時間のみ。1日3度のミサのほかは、日課に従い、一人で祈り、労働、聖書の研究を行う。グレーニン監督は1984年に撮影を申し込んだが時期尚早と謝絶された。16年後、「準備が整った」との連絡を受け、6か月間、修道士と同じ生活をしながら1日に49分だけ許された空き時間に撮影を行った。
2014年、フランス、監督:マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール、舞台となる地域:フランス・パリ、アウシュビッツ
様々な人種の生徒が通うパリ郊外の高校のクラスを舞台に、ベテラン熱血教師が「問題児」の集まるクラスを導いていく物語。教師アンヌは、ナチスの強制収容所での凄惨な出来事をテーマに、クラスで研究コンクールへ参加することを提案する。コンクールを通して民族や宗教について真剣に考え、変わっていく教室と生徒たちが描かれていく。作品は実話に基づいており、実際に生徒の一人であったイスラム教徒の青年の提案により制作された。移民が多く住むと言われるフランス郊外の学校の様子を通じて、現在のヨーロッパで生きるイスラム教徒の日常生活も描き出されている。
2014年、フランス、監督:フィリップ・ドゥ・ショーヴロン、舞台となる地域:フランス
フランス人のヴェルヌイユ夫妻には4人の娘がいる。夫妻は保守的なカトリック信者であり、娘たちには教会で結婚式を挙げてほしいと願っているが、長女、次女、三女が結婚したのはアラブ人、ユダヤ人、中国人で、カトリックではないため、結婚式は市役所であげざるを得なかった。その後も宗教や食文化、歴史認識など、異文化への気遣いや婿同士のいさかいで疲れ果てる夫妻のもとに、いよいよ四女がカトリックの恋人を連れてくるが……。国際結婚を題材に、宗教間の違いや文化の違い、人種差別といった問題に、ユーモアを交えながら切り込んだ本作には、ユダヤ教の割礼式や、意気投合した婿たちが協力してハラール・ビジネスを立ち上げる場面などもあり、諸宗教や宗教文化の理解の手助けにもなる。
1928年、フランス、監督:カール・テオドール・ドレイエル、舞台となる地域:フランス
カトリック教会における聖人であり、祖国フランスでも敬愛される「オルレアンの乙女」ジャンヌダルクが、イギリス軍の捕虜となり、異端裁判にかけられ刑死するまでを描いた白黒無声映画。裁判の様子などはできる限り史実や文献に基づいて描かれ、また全編を通して表情のクローズアップが多いことから、裁判の緊迫感やジャンヌの感情の機微が効果的に伝わるようになっている。また、祖国を導く力強い英雄としてのジャンヌではなく、拷問に苦しみ、涙し、火刑を避けるために一旦は神を裏切ってしまう人間らしい姿が描かれている点も印象的である。
2005年、フランス、監督:コリーヌ・セロー、舞台となる地域:フランス、北アフリカ、スペイン
スペイン北西部のサンティヤゴ・デ・コンポステーラは、聖ヤコブの遺体が葬られたとされるキリスト教の聖地であり、そこへの巡礼は現在でも根強い人気を保持している。物語は、母の遺言により仕方なく巡礼をすることになった仲の悪い3人兄弟、心に傷を負った女性、メッカ巡礼と勘違いしているイスラーム教徒の高校生やピクニック気分の女子高生など、動機も目的も異なる8人が1500kmの巡礼路をともに歩き、次第に心を通わせていく過程を描く。
1999年、フランス/アメリカ、監督:リュック・ベッソン、舞台となる地域:フランス、イギリス
フランス北部がイングランドに占領されていた百年戦争の中、神の声を聞き、フランスを救うために立ち上がった少女ジャンヌ・ダルクの運命を描く。奇跡的な勝利をおさめ、オルレアンを解放したがジャンヌ・ダルクであるが、イングランドによって宗教裁判にかけられ、異端として火刑に処される。ジャンヌ・ダルクの生涯は、これまで複数の映画や小説で扱われてきたテーマであるが、本作では自らの残虐な行いに苦悩する一人の人間としてジャンヌが描かれている。
2006年、アメリカ、監督:ロン・ハワード、舞台となる地域:イギリス、フランス
宗教学者のラングドン教授と暗号解読官のソフィーが、絵画や彫刻等に隠されたメッセージを手掛かりに、連続殺人事件の謎を解いていく。事件の裏には、イエスがマグダラのマリアと結婚し、子どもをもうけたという教会を揺るがす大スキャンダルが隠されていた。本作の原作となった小説の前書きには、「この小説は真実に基づいている」との記述があり、そのため欧米のキリスト教会では本作に対して反感を抱く人も多かった。
2008年、イスラエル/イタリア/フランス/ドイツ、監督:アモス・ギタイ、舞台となる地域:イスラエル、フランス
タイトルの「撤退」は、2005年にガザ地区からイスラエルが撤退したことを示すものである。その際、すでにガザ地区に入植していたユダヤ人たちもその地を離れなければならなくなった。物語は、イスラエル人の青年ウリが、養父の葬儀でフランスに出掛け、そこで養父の実の娘(ウリの姉にあたる)アナに出会うところから始まる。アナには昔手放した娘がおり、その娘がガザ地区にいることを弁護士から教えられる。弟のウリはガザ地区の警備(ガザ地区からの撤退に反対するユダヤ人を排除)にあたることになっており、アナも彼とともにガザ地区に向かう。そこで彼女は、強固に撤退に反対するユダヤ人の現状を目の当たりにする。
2010年、アメリカ、監督:クリント・イーストウッド、舞台となる地域:アメリカ、フランス、イギリス、タイ
自らの持つ不思議な能力によってかつては霊能者として活躍していながらも、その能力ゆえに苦悶する青年。津波に襲われ死後の世界を垣間見たフランス人女性 ジャーナリスト。双子の兄を事故で失って以来、兄との再会を求めてやまない少年。死や死後の世界という問題に向き合う3人の物語が次第に交差していく様子 を描く。現代人にとって、死や死後世界がどのような意味をもっているのか考える機会を与えてくれる。
1997年、エジプト/フランス、監督:ユーセフ・シャヒーン、舞台となる地域:フランス、スペイン、エジプト
12世紀、イスラーム支配下のアンダルシアを舞台として、思想の自由を求めて闘った人々の物語。哲学者アベロエスの弟子となった主人公のもとに、聖典の重視、哲学批判、歌舞音曲の忌避を掲げる「セクト」による弾圧と洗脳の危機が迫る。彼は師の思想を守り抜くことが出来るのか。歌と踊りを交えたエジプト映画のもつ娯楽性を取り入れながら物語は展開していく。
2009年、オーストリア/フランス/ドイツ、監督:ジェシカ・ハウスナー、舞台となる地域:フランス
聖母マリアの出現で知られカトリックの有名な巡礼地となってるルルドには、治癒を求めて多くの人が集う。本作では、手足の不自由な主人公の若い女性がルルドを訪れ、その後奇跡的に手足の自由を得る。彼女の身に起こったことを奇蹟であると受け止める人もいれば、なぜ信仰心の薄い彼女にそうした奇蹟が生じたのか、羨望と妬みのまなざしを向ける人もあらわれる。信仰や奇蹟、神の力について考えさせる内容になっている。