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2005年、アメリカ、監督:リドリー・スコット、舞台となる地域:イスラエル、パレスチナ
十字軍とサラディン軍が衝突する12世紀エルサレムが舞台である。鍛冶屋バリアンは、キリスト教徒とイスラム教徒が平和共存する「天の王国」聖地エルサレムを守れとの遺言を残した父の遺志にしたがい、十字軍としてエルサレムに向かう。エルサレムでは十字軍とサラディン軍の衝突が続いていた。バリアンは、劣勢ながらも機転を利かせてサラディン軍の猛攻を防ぎ、対話による平和を目指すため和平交渉に臨んだ。本作では宗教に中立な立場をとるバリアンが善として、宗教者や宗教にかかわる者は悪として描かれていることが特徴的である。
2014年、アメリカ、監督:クリストファー・スペンサー、舞台となる地域:イスラエル
アメリカ「ヒストリーチャンネル」で放送され人気を博したテレビシリーズ「The Bible」の劇場版。イエス誕生から復活までを描く。イエスの生涯を題材にした映画は多数あるが、本作では人間味あふれる偉大な指導者としてイエスを捉えているのが特徴となっている。イエスに関する映画としては他に『奇跡の丘』『パッション』『最期の誘惑』などがある。
1973年、アメリカ、監督:、舞台となる地域:イタリア、イスラエル
イエスの受難をロック調で演出したブロードウェイミュージカルを映画化した作品。登場人物たちは現代的な衣装を身にまとい、イエスも「神の子」としてより はむしろ民衆の「スーパースター」として描かれている。それ以外にも、イエスを裏切るユダの心情が詳細に描かれていることなどが本作に特徴的な点としてあ げられる。ミュージカルは劇団四季によって日本語でも上映されている。ポップな「スーパースター」としてのイエス像は日本人にも受け入れやすいものなのか もしれない。
2004年、イスラエル/フランス/ドイツ、監督: エラン・リクリス 、舞台となる地域:シリア、イスラエル
ドルーズ派というイスラームの一派を信奉する一家の娘が結婚することになる。彼女が住んでいるのは、第三次中東戦争(1967年)以来イスラエルに占拠されている元シリア領のゴラン高原であったが、花婿は軍事境界線の向こうのシリア側に住んでいた。彼らが結婚をする為には、越えてしまったら二度と戻ることのできないその境界線を越えなければならない。中東の政治情勢に翻弄される一組のカップルとその家族の困難を描く。
2008年、イスラエル/イタリア/フランス/ドイツ、監督:アモス・ギタイ、舞台となる地域:イスラエル、フランス
タイトルの「撤退」は、2005年にガザ地区からイスラエルが撤退したことを示すものである。その際、すでにガザ地区に入植していたユダヤ人たちもその地を離れなければならなくなった。物語は、イスラエル人の青年ウリが、養父の葬儀でフランスに出掛け、そこで養父の実の娘(ウリの姉にあたる)アナに出会うところから始まる。アナには昔手放した娘がおり、その娘がガザ地区にいることを弁護士から教えられる。弟のウリはガザ地区の警備(ガザ地区からの撤退に反対するユダヤ人を排除)にあたることになっており、アナも彼とともにガザ地区に向かう。そこで彼女は、強固に撤退に反対するユダヤ人の現状を目の当たりにする。
2012年、イギリス/イスラエル、監督:モフセン・マフマルバフ、舞台となる地域:イスラエル
監督親子(父:モフセン、息子:メイサム)が、世界における宗教の役割について考えるためにイスラエルに旅に出る。父子はハイファのカルメル山の斜面に作られたバハイ教の聖地(創始者バーブの廟と庭園)を訪れる。世界各地から聖地を訪れた信者たちと対話しながらその平和思想に魅かれていく父モフセンと、父のそのような姿勢を激しく糾弾する息子メイサム。口論の果てに、メイサムは撮影を放棄し、一人エルサレムに向かう。父子それぞれが現代における宗教と向き合い、それを分析していくドキュメンタリー作品に仕上がっている。
2000年、アメリカ、監督:ビクター・サリン、舞台となる地域:アメリカ、イスラエル
旧約聖書、新約聖書(とくにヨハネの黙示録)には、信仰をもつ者は天に挙げられ(携挙)、信仰をもたない者はこの世に取り残されるという考え方がみられる。こうした携挙の考えをベースに、人間が次々と消えていく様子を描いたパニック映画。原作は牧師でもある作家の小説であり、そのストーリーには福音派の終末観が反映されているといえる。
2004年、アメリカ/イタリア、監督:メル・ギブソン、舞台となる地域:イスラエル
イエスが十字架で処刑されるまでの最後の一日は伝統的に「パッション」(受難)と呼ばれる。本作品は、そのイエスの受難を「忠実に」描写することを目指したものであり、ローマ兵による鞭打ちや十字架への磔、苦痛にゆがむイエスの表情などが生々しく描かれている。受難を描くということは、イエスによる贖罪というキリスト教にとって非常に重要なテーマを描くということであり、本作の公開時にはその描き方の賛否をめぐって議論が巻き起こった。
2014年、監督:シャロン・マイモン タル・グラニット、舞台となる地域:イスラエル
エルサレムの老人ホームを舞台に、「安楽死装置」をめぐる死の選択の様を描く。主人公のヨヘスケルは妻のレヴァーナとともに老人ホームに暮らす。発明好きのヨヘスケルは、ある日、望まない延命治療に苦しむ友人マックスの頼みで、患者本人がスイッチを押すことのできる安楽死装置を発明する。安楽死は殺人だとして実行に反対するレヴァーナに対して、安楽死を尊厳死として肯定するヨヘスケルはその計画を秘密裏に実行に移す。これを聞きつけた人々から装置を貸してほしいという依頼が殺到するなか、レヴァーナは認知症の進行を機に安楽死を望むようになる。当事者として安楽死に関わることになったヨヘスケルは、悩み葛藤する。老い、病、死といった普遍的テーマのなかでも、安楽死の認められていないユダヤ教社会における尊厳死の問題を取りあげ、現代社会に切り込んだ作品となっている。
2005年、アメリカ、監督:スティーヴン・スピルバーグ、舞台となる地域:イスラエル、パレスチナ、ドイツ、ヨルダン
1972年、西ドイツ・ミュンヘンで開催されていたオリンピックの選手村がパレスチナ人ゲリラに占領され、11名のイスラエル人選手が命を奪われた。イスラエル側はこれに報復する形で、パレスチナ人ゲリラの指導者たち11人を暗殺する計画を実行する。主人公はこの暗殺実行グループのメンバーであり、彼の苦悩と恐怖を描くことで、この一連の事件の意味を問いかける。
2005年、フランス、監督:ラデュ・ミヘイレアニュ、舞台となる地域:イスラエル、エチオピア、スーダン
エチオピアには黒人のユダヤ人が住んでいる。聖地エルサレムへの帰還は彼らの夢であり、それを実現させるために1984年彼らを空路でイスラエルへと連れていく作戦(モーセ作戦)が行われた。主人公はその計画の際、ユダヤ人と偽ってイスラエルへと里子に出された少年である。本当はユダヤ人ではないことへの負い目、黒人に対する差別、そして彼を送り出した母への思いなどが、宗教や民族という問題を背景にしながら展開される。