5,算数応用編 その2

【算数応用編 2】

計算力をつけていく中で、数々のコンフーが身に付いてきます。

まずは集中力。

計算に集中している間、脳はフル回転します。

この瞬間こそが、素晴らしくコンフーが養われている状態なのです。

集中力には二通りあります。

一つは、長い時間集中できるという意味での「持続的集中力」。

そしてもう一つが、目の前のことにどれだけ深く

意識を向けられるかという「集中深度」です。

計算練習では主に後者の方が伸びるでしょう。

次にスピード。

単に計算するスピードだけでなく、物事に取り組むスピードです。

ただしこれは性格によって差が大きく出ます。

短気な子はさっさと終わらせて遊ぼうとしますから、

スピードの伸びも大きいのです。(男子に多いです)

逆に安定してじっくり取り組む子は、スピードは上がりにくいです。

(女子に多いです)

これは性格の問題なので、

のんびり屋の子に、あまりスピードを強要しすぎるのも考えものです。

ここが教える側として悩む場面でもあります。

勉強は時に、その子の性格を変えてしまうことがあります。

少し話がずれますが、この「性格が変わる」で一番私が嫌っているのは、

「ぐったりサラリーマン」です。

長時間、難しい学習をさせたり、宿題がワンサカ出る塾に多いのですが、

塾から出てくる子ども達の顔はみな疲れ切っています。

将来の夢だとか明日の楽しみよりも、

とにかく今日が早く終わってくれることを望んでいるかのような、

そんな表情です。

教える側としては、それだけは絶対に招いてはならないことだと思います。

いかなる栄光も、疲れ切った顔で手にしても何の価値もありませんから。

計算練習でスピードを意識することは大切ですが、

あくまで自分のペースで上げていくことを忘れないでください。

3つ目に上がるコンフーは、脳の回転力。

計算を続けると、脳の眠っている力が引き出されます。

これは応用問題を解くときの発想力にも影響します。

私が、「応用よりも計算を先に」と主張する理由はここにあります。

もちろん、計算練習だけで全ての応用を解くのは無理ですが、

計算練習なしに応用に挑むのは無謀です。

このほかにもコンフーは養われますが、

計算練習で上昇するのは主にこの3つです。

そして、最大の利点。

算数の苦手な子は、算数が苦手だと思っています。

ここで大切なことですが、「苦手」とは状態ではありません。

「気持ち」です。意識の問題なのです。

本当は得意になれる可能性を秘めているのに、

苦手だと思って、そのまま思い続ける。

これが算数を伸ばす上でかなり障害になることが多いです。

それを打破するにはどうしたらいいか?

そう、簡単な計算をやらせ、

計算力を伸ばして自信をつけさせることなのです。

事実、当塾に通い始めた子ども達に計算練習を毎日続けさせると、

いつしか計算は得意になり、「算数は苦手だけど計算なら得意」という状態に

引き上げることができます。

余談ですが、私は中学時代バスケ部でしたが、一番ヘタでした。

なにしろ、ドリブルがまるでできません。

けれど、ディフェンス(守る側)は少しだけ得意でした。

上級生の嫌がる動き方とかをしている間が、

バスケをやる中で一番楽しかったのを覚えています。

この「楽しかった」という気持ちがあるから、

バスケを続けられたのだと思います。

苦手だと思っている子に、いきなり難しいことを要求しても、

その応用を解ける能力もついてなければ

解こうとする意欲もまだ出てきていません。

これは、どの教科にも言えることですが、

まずは「簡単なことをマスターさせて自信をつけさせる」という、

一歩一歩の積み重ねの精神を大事にする必要があります。

計算練習でコンフーと自信をつけたら、応用問題は半分解けたようなものです。

6,算数応用編 その3 へ進む